そうして始まる僕らのカタチ 3 しおりを挟むしおりから読む目次へ 「とか何とか言って、結局気になるだけなんだけどさ」 (正直な人だなあ……) その科白に少し気が楽になったわたしは表情をゆるめる。それを見て、二人がほっとしたように笑った。 「もし良かったら話してみない? ずーっと一人で悶々と悩んでるっていうなら、気晴らしになるかもしんないし」 「無理強いはしないけど、このまま帰すのも寝覚めが悪いしね」 瀬戸さんも藤原さんも、すごく真面目に言ってくれる。その瞳に冷やかしの色はない。 成瀬のことだけじゃない。わたしのこともちゃんと心配してくれてるんだ。 (……いい人たちだな) 正直、一人で考えるのにも疲れてしまった。わたしだけの問題じゃなくて、成瀬のキモチがあるから、滅多な人に相談もできなくて。そもそもいつも困ったとき、わたしは成瀬に頼ってたんだから。 だけど、今度ばかりは頼れない。 ホントは一人で結論を出すべきことだっていうのは分かってる。だけど何をどうしていいのか、わたしには分からないんだ。 「……少し、聞いてもらえますか?」 しばらく考えた後、わたしは二人の厚意に甘えることにして、ゆっくりと事の次第を話し始めた。二人は時折相づちを打ちながら、真剣な表情で話を聞いてくれた。 そしてわたしが全てを話し終えると。 「えーと、それってつまり」 藤原さんが何とも言えない微妙なカオをしながら言う。 「成瀬は綾部さんが好きってことでしょ?」 「う。……でもまだ違うかも」 好きになったらメーワクなのか。 成瀬はそう言った。それにもう、今となっては嫌われてる可能性のが高い。 わたしがおずおずとそう言い添えると、藤原さんも瀬戸さんも大きくため息をつく。 「そう訊いてる時点で、キモチは決まってるでしょうよ」 「それにキモチって、そんな簡単に変わるものじゃないと思うよ?」 「うぅ……でも」 仮に今も成瀬がそう思ってくれてたとしても、わたしは。 「わかんないんだもん」 成瀬が見せた『本気』が、わたしは怖くて仕方ない。まるで知らない人と向き合ってるみたいで、どうしていいか分からなくなる。 |