そうして始まる僕らのカタチ 2 しおりを挟むしおりから読む目次へ 「なーるーせー」 「……あ?」 「また眉間にシワ。タカみたいな顔になっちゃうよー」 すっかり考え込んでた俺に、間宮が自分の眉間を指して教えてくれる。ついでに余計な一言を添えて、曽根に蹴られてた。 「痛いって!」 「痛くしてんだ、トーゼンだろ」 相変わらずの仏頂面で曽根は間宮を切り捨てた。うん、確かに怖い。こんなカオになったら間違いなく困る。今以上に綾部が怯えるに違いない。 (瀬戸サン、よく付き合えんなあ……) こっそり思って曽根を見ていたら、ヤツは急に俺に向き直ってきた。もしや、心ン中を読まれたか? しかし曽根は怒ることもなく、首の後ろに手をやりながらぶっきらぼうな口調で言う。 「個人的なことに深入りは出来ねえけどさ。あんま、ためこむなよ? 主将にはしっかりしててもらわねーとだし。聞けることなら聞くから」 「そーそー。ただでさえ、藤原とタカとの板挟みで気苦労絶えないんだから。無理は禁物」 したり顔で付け加える間宮。それを曽根は苦々しく見るが、反論はしなかった。一応、自覚はあるんだな。 ――瀬戸サンが曽根と付き合ってる訳が、少し解ったような気がした。 何だか妙に微笑ましい気分になって、自然に笑みがこぼれる。曽根と間宮がぎょっとしたように後退る。 「あーいやいや……ありがとな」 我ながら締まりのない顔で俺は言った。二人は訳が分からないといった表情で、互いに顔を見合わせている。 友人には、恵まれてるらしい。 人知れず俺がそんな思いに浸っていると。 「ちょっとー―っっ!」 ドアが物凄い勢いで叩かれた。つーか、殴りつけてねーか? 「まだ着替えてんのっ? 早くしてよね! カギ返しに行けないじゃないっ!」 ぎゃんぎゃんとがなりたてる声に、俺たちは顔を見合わせた。外にいるのは我らが野球部の女王様。 その鬼のような形相を思い浮かべて、ゾッとして。 俺らは慌てて荷物をまとめ始めたのだった。 * * * |