そうして始まる僕らのカタチ 2
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「いてーな! 何すんだよっ」

「てめえが余計なことばっか、くっちゃべってるからだろうが。さっさとしろよ、置いてくぞ」

 そう冷ややかに言い切ったのは、間宮が呼ぶところのタカこと曽根隆志(そね・たかし)だ。コイツも同じ部の仲間。こっちは既に着替えを終えている。

「んだよー、タカはホント瀬戸(せと)にしか優しくないよなー」

「てめえに優しくしてやっても、調子に乗るだけだろが」

 ぶつぶつと文句をたれてる間宮と、それを目をすがめて睨む曽根。俺は二人を横目で眺めつつ、とばっちりを受けないうちに黙って着替えに専念した。

 ちなみに間宮が言った『瀬戸サン』は、最近曽根に出来たカノジョのことだ。野球一筋で色恋に無縁だと思っていたヤツが、校内を走り回ってモノにしたという事実は記憶に新しい。そのためにコイツ、部活サボったし。

 そういや、そもそもの発端はその曽根と瀬戸サンの追いかけっこだったはずだ。綾部があんな変な質問をしてきた、きっかけは。


『恋って何?』

『学校中走り回ってなんて、よくそんな恥ずかしいことできたよなあって。疲れるしさー』

『で、そのくらいのことを平気でやれてしまう『恋』とやらについて考察してみようかと思いまして』


 あー、そうだったそうだった。アイツが変なこと考えるきっかけになったのは、曽根たちの話だ。今や『バカップル』の名を欲しいままにしている、コイツとその片割れのせい。

「ンだよ?」

 珍しく、曽根が俺に対してたじろいでみせた。かなり据わった目つきで見ていたらしい。

「いや、悪い。何でもない」

 やつあたりは、みっともないよな。きっかけはソレでも、綾部の態度がおかしくなったのは曽根たちのせいじゃない。そう思い、俺は再び謝る。そんな俺を見て、曽根が渋い表情を作った。

「やつあたりの自覚あんだ?」

「だーかーらー! 悪かったって」

 言いながらセーターを頭からかぶる。てか、間宮じゃねーけど、年中怒ったカオしてるお前に言われたかないぞ。

 ぼさぼさになった髪を撫でつけて憮然として曽根を見ると、また同じ言葉が飛び出してきた。


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