無自覚症候群 2 しおりを挟むしおりから読む目次へ だけど。 「最近は繋がないなあ……」 ぽつりと口から零れた。 思い返してみれば、いつを境にしたんだろう。傍にいても触れることがなくなった。逆もまた然り。 もらされた呟きに、紗耶が静かに問うてくる。 「……繋ぎたい?」 あったかい彼の手。繋いでいると安心できた。いつだったか彼の手が自分より大きくなってたのに気が付いて、複雑な気持ちになったことがあったっけ。 どうしてだったんだろ。 彼が少し遠くなった現実に、今わたしがはっきり抱いている感情は。 「寂しい、な」 これだけは確かに言えること。 また繋げたら、こんな気持ちはなくなるだろうか。 知らず知らず伏せ気味になってた顔を上げて、わたしは紗耶を見た。 夕日に照らされた彼女の顔。優しく笑ってるのに、それは切なげな表情で。わたしは何だか申し訳ない気分になってしまい、窓の外へと視線を背けた。 部活中の生徒の掛け声が、やたら虚しく響いて聞こえた。 【続】 |