夢幻
夢の中で稀に見ることがある。暖かな陽射しの下、縁側に腰かけなにかを楽しげに話している自分と、はっきりとおもいだせないが大差ない歳であろう女と会話を弾ませていた。夢に漂う自分は年相応の、青年と言おう笑みを浮かべていた(それにしても、こんなにやんわりと笑えようとは知らなかった)。
対して、隣の女は気品の欠片もなくけらけらと笑っていたが、別段汚くもなくどうしてだかそれは落ち着くもので、すんなりと受け入れている己がそこにいた。

しかし、目覚めれば囀りばかりの静かな空間でゆっくりと瞼を上げるのだ。覚めてくれるなと念じても意識は疾うに取り戻し、しっかりと覚醒してしまう。たかが非現実的な映像だというのに。

あの女は一体誰だ。

見慣れた天井を一点に見つめ、初めこそは毎回そう耽る。顔も名前も知らない、記憶に当て嵌まらない故逢うことはまずあり得ない女のことを先ず考えてしまうのだ。
所詮はうたかたの夢、されどうたかたの夢。しかし望んで呆けていても声は聞こえてくるものではない。代わりに虚しいばかりの静寂だけが返ってくる。声にしようとも、あの女を呼びかけるには何を紡げばよいのやら。


わからなくなってところで諦めもつき、長い朝昼を過ごす。時間が忘れさせてくれる。願うばかりで自ら動きもせず。だが、そうやって忘れかけた頃にまたやってくる。繰り返す微唾みは、まだ続くようだ。




手に入れた夢幻
(其れが僅かな憩い)



★お礼

5000HITおめでとう御座います!
フリーだったんで…頂きました!
またしても無断すいません!かなりの小心者なんです!心臓ツルツル毛一本も生えてないんです!
それにしても…萌え←
政宗の夢に出てるとか妄想したら勝手に顔がにやけてしまいました←
もっと政宗を悩ませてから「私だよ〜♪緋桐だよ〜♪」って登場してやりたいです(本当に品の欠片もねぇ)。


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