「でー、話があっちこっちとんだけどよ」



ジャンプの魅力を一通り語った後、銀ちゃんは柵によっ掛かりながら話す。




「お前、マジでなんかあった?」


「んー?」


「"んー?"じゃねーよ」



あたしの所に来てかがみ、前髪を持ち上げる。


ふわりと触れた銀ちゃんの手が気持ちいい。


繊細なのに男を感じさせる指に、もっと触れて欲しいと思った。




「ねぇ。銀ちゃんってさ、彼女いるの?」


「は?いねぇ…けど?」


「本当?」


「ほんとだよ、わりーか!」




ううん。ぜんっぜん!


あたしは心の中でガッツポーズする。


彼女いない=あたしが彼女になれる可能性あり。


自分の中で勝手な方程式が導き出されるのに、数秒とかからなかった。




「んだー?名前、俺に惚れたか」



それは冗談混じりに投げ掛けられた言葉だった。



トクンと心臓が跳ねる。



目の前の銀ちゃんは、悪戯っぽくシシっと笑っていた。




「…うん。そうなの」




思わず、想いが口先を離れた。


すんなりと出た言葉に、自分も驚く。


でも、それ以上に驚いているのは銀ちゃんで。


目をパチリとさせて、全ての動きが止まった。



それから銀ちゃんは、『あー』だとか『マジでか』だとか『嘘だろ』だとか、唸っていた。





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