話は終わり、俺はウランとテルルを連れて教室に戻った。 リンのせいで起こった嫁騒動が始まると覚悟を決めて、教室に一歩足を踏み入れたが、クラスメートたちは違う話題で盛り上がっているようだ。 盛り上がりようも様々で、特に男子は悲痛な叫びをあげていた。女子…特に鐘城族は大変喜んでいるようだ。 俺が何事かと首をかしげていると、斎がよってきて、
「竜飛!!大変だ!!」
と青ざめた顔を近付けるなり、俺の腕を引っ張って黒板の前に立たせた。黒板にはど真ん中に紙切れが一枚貼ってあり、それに目を通すと、そこには絶望的な内容が書かれていた。
『メイド喫茶決定!』
瞬間、俺は悲鳴をあげ、その場に座り込む。生徒会!!おのれ生徒会!!貴様らよくも承諾しやがったな!!!…ん、待てよ?決まるの早過ぎやしないか? すると、絶望にうなだれている俺の横に鐘城がやってきて、不気味な笑みを俺に向けて、
「あたしの兄たちがね、生徒会なのよ。それで、メイド喫茶を承諾しないとあんたたちにメイド服着させて写真ばらまくわよって脅したら、快くすぐに承諾してくれたわ」
鐘城兄も大変だな、こんな妹をもって。俺にも妹がいるが、よかった、こんなんじゃなくて。てか、あいつ元気にしてるかなあ?とか現実逃避をしてみたが、駄目だったようだ。 てか、兄"たち"って複数生徒会に入ってるのか。
「ええ、そうよ。兄たちは一卵性双生児なの。だからあたし、お兄ちゃん二人いるのよ。どっちも生徒会に入ってるわ」
そうか。 そんなこんなで、これから文化祭が終わるまで俺は絶望の日々を歩むのであった。 これはメイド的な意味でも、元素的な意味でも絶望的ってことだぞ。 …俺、生きて帰れるかなあ。
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