元素本編 | ナノ




ろくっ







「バカのくせに結構鋭いのね、竜飛」


大変失礼な台詞が聞こえたほうへ目をやると、そこにはニ頭身のテルルがいた。


「"今の"ウランには秘密よ?」


"今の"?


「実はあの子、自分が他の元素に狙われているのを知って、あたしに記憶を忘れさせてほしいって頼みにきたの。狙われている理由がわからないのもあるし、何かきかれても答えれないように自分の能力の全てを忘れたのよ。あ、この話はあなたと出会う随分前の話ね。だから、そういうことで人間サイズになる方法も、エネルギー摂取の方法もわからないから、人間サイズに"ならない"んじゃなくて、"なれない"のよ。…まあ、自分が元素であることと、まわりの人のこととかは覚えてるけどねー」


あー、なるほど。
テルルは話が終わったと同時にリンに向かって、


「あら、あなたいたの?てか、そんなに胸でかかったっけ」


リンはまたはち切れそうなくらい頬をふくらませて、


「それ、コンプレックスなのう…。今まではさらし巻いてたんだよう」


「あ、忘れてた!!てか、お前!!嫁ってどういうことだ!!俺、勘違いされちまったじゃねえか!!」


リンはテルルを見たまま、首を横にふって、


「違うよう。あれは、うーちゃんの嫁ですっていう意味だよう。りゅーくんみたいなバカな人の嫁になんかなるわけないでしょ!」


ストレートに失礼なことを言うな。カルシウムにしろ、テルルにしろ、失礼なことしか言えないのか、元素(こいつら)は。
あと、あの言い方だと確実にみんな俺の嫁だと思うからな?


「実はそれが狙いだったり♪」


こいつ、絶対性格悪いな。


「てか、ウラン。貴様、嫁いたのか」


俺はリンからウランを奪って、つまみあげる。


「…違う…それも嘘」


「もう、うーちゃんったら照れ屋さんなんだからー!!嘘だなんてひどーい!!」


「嘘なんだ!本当だ!」


どっちなんだ!


「嘘よ。だってウランには彼氏がいるもの」


…彼氏?


「それも嘘だっ!」


「実はそうなのう…」


リンも本当だって言ってるじゃないか。あ、リンの言うことは信頼しないほうがいいんだっけ?


「この二人は腐女子で…!!」


腐女子…?そういえばさっき、テルルが言ってたな。鐘城族のことも。


「あなたは知らなくていいのよ、錐川竜飛。あなたは黙って、あたしたちの妄想要員になっていればいいの」


なんだよ、妄想要員って。


「あとさ、うちの学校の制服着てるけど…リン、お前も潜入してるのか?」


「うん!一年生に潜入してるよー!」


なんであえて一年生なんだ。


「高校生活を精一杯楽しむためだよう。こんな経験、もう一生できないかもしれないしね!ちなみにカルくんは二年生!」


そうだ、お前ら以外にも潜入してるやついるのか?例えば…保健室の先生とか…。


「ありゃりゃ!気付いてたのう!?そのとおりだよう!保健室の先生はヨウ素ちゃんなのう!!」


ヨウ素か…。他には?


「いるけど、教えてあげない!理由は楽しみがなくなるから!自分で捜してみて、発見したほうが楽しいでしょ!」


いや、自分で捜そうとは思ってねえよ。…まあ、確かに言われてみたらそうだな。自分で見つけたほうが楽しいのはわかる。でも、敵も紛れてるんじゃないのか?


「さあ?リンは味方しかしらないよう…。味方というか友達?みんなでお宝探ししてるから、みんな敵っていえば敵なんだけど…」


そうか。俺がききたかったのは、ウランを狙っているほうの敵のことだったんだが…。この言い分だと知ってる風でもないな。すると、俺の心情を読んだのか、テルルは、


「その線はありえるわ。もうすでに潜入して見張ってるかもしれないわね」


と言った。







[TOP]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -