中庭につくなり、女は満面の笑みを向けて、
「ふふふ、あたしが誰か知りたいんでしょ?」
そう言って、俺の胸ポケットを指す。
「その中に入ってるものをちょうだい」
「お前、元素か」
「おりょりょ!?よくわかったねー!でも、あたしはそこらへんの元素とは違うのだあ!!」
そうほざいた瞬間、女は人魂のようなものを複数出して、俺に向かって攻撃させてくる。 ちょ、ちょちょ!!火は熱いからやめて!
俺が人魂に気をとられていると、一つの人魂から手がはえて、俺の胸ポケットにいたウランをひっつかまえた。
「しまった!」
俺がそれに気付いたときはもうすでに遅し、人魂はウランを女のもとへと連れていっていた。…ていうか、こんな事態になっていても、まだ寝てるのか、ウランよ。
「ふふーん、ちょろいちょろい♪」
女は満面の笑みで、ウランのほっぺをすりすりしている。
「お前もラドンとかの仲間か!?」
それを聞いた女はきょとんとしてから、
「いやだっ!あんな子たちと一緒にしないで!!あたしは違うのう!!うーちゃんラブなんだからー!!」
ぶーぶーと口をアヒル口にして言う。うーちゃんとはなんだ。
「うーちゃんはこの子のことだよう!」
ああ、ウランのことか。
「きゃうー、うーちゃんかあいいよう!」
俺が女の言動にあっけにとられていると、
「お前、こんなところで何してる」
と、俺の背後から声がした。後ろを振り向けば、そこにはうちの学校の制服を着たカルシウムがいた。 あのー、お前とは俺のことですか?
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