休み時間。
そんなこんなでうちのクラスはメイド喫茶をやることになった。まあ、そうは言ってもまだできるとは決まってないけどな。生徒会にメイド喫茶を希望しますと申請しなきゃいけなくて、それが通らないとやることはできない。生徒会が通さないことを祈ってるさ。 そんなことを考えてると、
「錐川くーん!呼ばれてるよー!」
と、聖史に呼ばれ、
「ほら、あの子!錐川くんのことを呼んでるわ。誰なの?」
聖史の目線を追うと、そこには知らない女がいた。そいつは俺に満面の笑みを向け、
「ふふっ、錐川竜飛さんですよね?お話があるのう」
クラスのほとんど全員がこっちを見ている。
「お前は誰だ」
「嫁です」
瞬間、クラスのほとんど全員が大盛りあがりする。うるさいったらありゃしない。それに嫁とはなんだ、嫁とは。お前はそういう名前なのか。
「いいえっ!」
と、女はぴしゃりと言い、
「すぐあとでわかることなのう。もう少し待って。今から中庭でお話しませんかあ?中庭であたしの正体、教えてあげる」
言い終えると女は、指を唇につけてウインクする。 それにハートを撃ち抜かれたのか、うちのクラスの一部の男子と女子が萌えーっとかやばいとか色々アホを丸出しにして叫んでいる。
そこでさっきまで呆然としていた聖史は、気を取り戻したようで、
「錐川くん?あなたはまだ法律上では結婚できないのよ?」
後ろに黒いオーラをまといながらおっしゃった。 他にも黒いオーラをまとっているうちのクラスの住人もいるようで、俺は相当危険な立場になっていた。 斎なんか、
「ぐぬう…竜飛ぃー!!そんな可愛くてちっちゃくて、かつグラマーな婚約者がいたなんて聞いてないぞ!」
勘違いしやがってる。 いやいや、俺、婚約なんか誰ともしてないし。 確かに斎の言うとおり、女は背もちっちゃいし、華奢だし、胸もでかい。 女は目をぱちくりとさせてから、満面の笑みで
「Eカップですが、何か?」
と言いやがった。 クラスのやつらの歓声やら悲鳴やらで俺の耳は忙しい。
「とりあえず話だ。中庭に行くぞ」
俺は早く雑音から解放されたくて、女の腕を引っ張って、中庭に向かった。 斎の「裏切り者お〜!!」という悲痛な叫びが聞こえたが、知るか。
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