元素本編 | ナノ




にぃ







「おい、龍也(たつや)は最近不登校だぞ」


と、俺が言った瞬間…


ガラッと教室のドアが開いた。
そこには最近不登校だったはずの"釜田(かまた)龍也"がいた。
金色に染め上げた髪に、もう開ける場所はないんじゃないかというくらいの耳のピアスの多さ、持って生まれた翡翠の瞳……そこにいたのは確かに俺の知っている釜田龍也本人だった。


龍也はクラスを睨み、俺の姿を発見するなり、満面の笑みで、


「竜飛!」


と俺に抱き着いてきた。
すると、まわりの女子たちが「釜田×錐川ktkr!」とかよくわからない言葉を発している。
龍也が俺に抱き着くたびに女子のみなさんはそう言ってくださるが、龍也はハーフなんだよ。片親が…どこの国か忘れたけど…外人だからハグくらいは龍也にとっては普通のことなんだよ。まあ、翡翠の瞳の時点でアジア系、アフリカ系の外人でないのは間違いないけど。


龍也は満足したようで、次に斎のところにハグしに行く。
そのたびに女子のみなさんは色々言うが…だから釜田×鈴原フラグってなんだよ。


龍也は俺と斎の二人にしか心を開いていない。それ以外のやつに対しては相当冷たい態度をとるらしい。
ちょー美形なのにもったいないよな。


まあ、そんな龍也なだけあって女子のみなさんはどうしてもメイドをやらせたかったようだ。鐘城族の考えることはさっぱりわからん。


斎とのハグが終了した龍也は、俺の後ろを見て、「こいつは?」と言う。


龍也は最近不登校してたから転校生のことは知らないよな。鋼島のことを俺の友達と紹介しておくと、龍也は鋼島をじとーっと眺めたあと、「ふうん」と言って自分の席についた。あいつはなかなか他人に心を開かないからな。ま、鋼島もそんなキャラっぽいけど。


「それより龍也。お前、メイドになってるぞ」


と、黒板を指しながら言ってやると、


「竜飛のメイド見れるならいい」


と、ケータイをいじりながら言いやがった。
その瞬間、鐘城族の女子たちは大盛りあがり。何が萌えるだ、こんちくしょう。龍也め、いらんことを言いやがって。
当の龍也はケータイいじりに没頭。まわりの女子がどんな目で見てるかなんて知ったこっちゃない風をふかせている。くっ、憎いぜ。


そんなことを考えていると、にゅっと俺の目の前に金髪ツインテールの二頭身元素が、


「ああいう女子のことは腐女子というのよ」


と、わざわざご丁寧に教えてくれた。というか、お前今日はきてたのか。


「ええ。今日は文化祭でやるものを決めるんだって呼酉が張り切ってたもんだから、面白そうだと思ってついてきたのよ」


そうかい。
ちなみにウランは俺の胸ポケットの中で睡眠中だ。窒素は言ってた何かを探すために学校中をあちこち行ってまわってるさ。ヘリウムは相変わらず鋼島の鞄の中にいるみたいだけど。
カルシウムは知らねえな。あいつのことだからここの学校に潜入して探してるんじゃないかな。







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