元素本編 | ナノ




ごぉ






腐女子狩りに巻き込まれたあと、錐川とウラン、窒素と別れ、あたしとテルルと弓削香は自分の家の方角に歩を進める。


途中で弓削香とは別れ、テルルはこのほうが動きやすいと、二頭身の姿になり、浮遊している。


「あんた、すごいのね。あんな技が使えたら最強じゃない」


「ふふふ、それほどでもないわ。あたし…テルルは化合物としてディスクの記憶部分に使われているの」


「記憶操作できるのよね?だったら嫌なことも全部忘れちゃえるわね」


テルルは少し俯いて、


「…そうね。でもね、あたしの能力には一つだけ落とし穴があるわ。あたしの能力はあくまで記憶を操作できるにすぎないの。こういうことがあったという記憶は消せても、実際にあったこと自体は消えないの。だから、あなたが忘れても誰か他の人が覚えている可能性があるわ。それに忘れることができても、何かの拍子にふと記憶が蘇る可能性もある。一概にいい能力だとは言えないわね」


ある意味パソコンと一緒なのかもしれない。いくらでもゴミ箱にいれることはできても、そのデータが実際にそのパソコンの中にあったという事実は消えない。難しい話ね。それにゴミ箱に捨ててもデータを復元できるしね。


「…ねえ、テルル。カルシウムにもあったようにあなたにも本当の名前、あるんじゃないの?」


テルルは浮遊歩行をぴたりとやめ、俯いて


「…あたし、覚えてないのよ。きっと忘れたのでしょうね。自身の力を使って」


そしてテルルはそれより…と言って、あたしに向き直り、


「あなた、学校行かないの?」


突然そんなことを言われたもんだから、少しむせちゃったじゃない。


「あなた…弓削香だっけ?あんなにいい友達を持っているのに…それに学校ってリア充うざくてマジタヒって思うかもしれないけど、妄想要員いるし、案外楽しいものよ?あたしに萌え話を聞かすためだと思って、明日から行ってきなさいな」


あまりに自分勝手な意見だったけど、何故かあたしは心を動かされた。
そんでもって、あたしは翌日登校したのだった。







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