元素本編 | ナノ




よんっ






「…ていうか、あなたたち、もっとマシな名前ないの?テルルは…まあ、いいとして、カルシウムって呼ぶのに少し抵抗があるんだけど」


あたしがそう言えば、カルシウムは不機嫌顔をさらに不機嫌にさせて、


「お前に何と呼ばれようが関係ない」


くっ、これは萌える!!最初はすごい抵抗するんだけど、やっぱ最後にはデレるのよねえ。


「だって、妄想するときにカルシウムって名前だと妄想しにくいじゃない」


「そのとおりよ!」


テルルは顔をキリッとさせて、


「呼酉、カルシウムの本名は"レオ"っていうのよ」


「何勝手に教えてんだよ!そして何故俺の名前を知っている!?」


「妄想のためなら何でもするわ」


ほう、レオね。妄想しまくろー。


「おい、人間!その名前を呼んでもいいのは一人だけなんだからなっ…////」


顔を真っ赤にしながら言うレオくん。


「「あ、彼氏?」」


二人同時に。


「違う!!」


そのままぷいっとそっぽを向くレオくん。
やっべ、ちょー萌える、ハアハア。レオくん、大丈夫よ。あなたのことは妄想するときだけレオって呼んで、口に出すときはカルシウムって呼んであげるから。彼氏限定なら尚更協力するわ!


そしてできればその彼氏も教えてくれたら、あたしちょー幸せ。


「で、何の用だったのかしら」


意外にもテルルが話を戻した。カルシウムはそっぽを向いたまま、


「ウランが見つかった」


…ウラン?まあ、これも有名だから元素なんだろうけど。


「ああ、あれね。あたしがアニ○イトに寄ってる間に逃げ出したのよ。あれにはほんと困ったものだわ。他人がせっかく鞄の中に入れて遊んであげてたのに」


「お前がわけのわからないエロ本を買うからだろ。俺も読みたくない」


「わけのわからないエロ本とは失礼ね。びぃーえるはそこらへんのふざけたエロ本とは全然違うのよ。ただニヤけて読むものじゃないの」


そうよ、そのとおりよ!びぃーえるはネ申なんだからね!!


ていうか、元素って鞄の中に入るものなの?小さくなれたりするのかな…?


「で、話を戻すと、とある人間がウランを見つけた。今はその人間のところにウランはいる。んで、ここに窒素も呼んでおいた。そろそろ来る頃だろう」


カルシウムが台詞を言い終えたとほぼ同時に人影が見えた。
見たことはないと思うけど、どこか懐かしいかんじのする少年と…もう一人(?)はなんか…あれ?人じゃない…え、えええ!!!!???


「おう、待たせたな」


その小さな生き物は小さな右手を軽くあげた。そして、あたしを見遣り、


「誰なんですか?」


ときいてきた。あたしはもうパニックで、


「何この小さい生き物〜!!」


と叫んでいた。話にならないと思ったのか、小さい生き物はあたしをスルーして本題に入ろうとしている。


そんなあたしにテルルは、


「ああ、あれも元素よ。小さくなったりできるの。ちなみにあれは窒素で、少年の胸ポケットの中にいるのがウランね」


と淡々と説明してくれた。


以降のことは知ってのとおりよ。







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