元素本編 | ナノ




さんっ






「大丈夫よ。あたしも腐女子だから」


……はい?


「ねえ、あなたはどのCPが好きなのかしら!」


「不良×平凡!」


ぎゃあああああ、答えてしまったじゃないのおおおお!!!!!


「それもぷまいわ!あたしはヤンデレ会長×会計」


きいてないからああ!!!
あたし…隠れなのにぃ…。


「いいじゃない。あたしも隠れだけど、オープンにしてる人と腐仲間の前では普通に萌えを語るもの」


あんたはいいかもしれないけど、あたしが嫌なの!
テルルはぶうと頬を膨らませ、


「もう!ほんとに面白くないわ、この子!」


ぷいっとそっぽを向く。
ちょっと萌えたことには黙っておく。


「…あら?」


テルルは視線の先に何かをとらえたよう。


「あなた、ここで何してるの?」


「捜した」


と、黒髪の少年がこっちに近付いてきて、あたしが視界に入ると、


「何これ」


怪訝そうに睨んできた。
しかもこれ扱いときた。
黒髪少年キター!と叫んでるどころじゃないわね。


「ああ、これはただの人間よ」


テルルまでこれ扱いかよ。


「紹介するわ。これは鐘城呼酉で、こっちはカルシウム」


テルルは少年のほうを指差して言う。
…ん?ちょっと待って。今、カルシウムって言ったわよね?カルシウムって言えば…元素の…。あれ?ちょっと!こんなこと言ったら全国のカルシウムさんに失礼かもだけど、普通に考えてカルシウムって名前つける人いるの!?ペットとかならともかく…。
あたしが頭を悩ませていると、テルルは


「あ、そっか。あなたにはまだ何も言ってなかったわね」


と言うと、ふふんと鼻で笑って、


「あたし…テルルとカルシウムは元素なのよ」


元素ぉ!?


「カルシウムは知ってると思うけど、テルルっていう元素もあるのよ」


いや、だからそんなんじゃなくて!!
元素って何よ!あんたたち、ただの人間じゃないの!?


「あたしたちは人間じゃないわ。元素よ。ただそれだけ」


そんな簡単に片付けられても困ります。


「やっぱりあなた面白くないわ!あたしだったらそこは二次元みたいって喜ぶけどね」


あんたはそれでいいかもしれないけど、あたしはそれじゃあ駄目なのよ。
それにあたしが望むのはびぃーえるな世界よ!まわりの男子がいちゃこらしてるのを拝むのが望みなわけ!


「それにはあたしも同意だわ!男同士でいちゃいちゃなんて最強の萌えよ!」


いらないスイッチを押してしまったみたい…。テルルは目をキラキラさせながら、カルシウムの腕を掴んで、


「この子だって彼氏の一人や二人はいるに違いないわ!」


と言ってやけにハイテンション。そんなテルルを不機嫌で睨むカルシウム。あ、でもよく見るとカルシウムって受け顔してるわね。ていうか、首につけてるあれはなんですか?首輪ですよね?きゃっ、彼氏にでもつけられたのかしら!萌えっ!てことであたしの妄想要員に追加しておこう。







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