リアルであたしのまわりにいるやつはほとんどリア充だった。ほんとにうざいし、ちょっとでも自分の思い通りにいかなかったら他人を罵倒したりするふざけたやつばっか。 特に女は恋愛に没頭していて、他人をねたむことしか出来ない憐れな人種ばっかだし、中学時代のあたしは…自分で言うのもあれだけど…どっちかって言うとモテていたほうだから、妬まれることも多かった。 まあ、当のあたしは恋愛なんかに興味なんてなかったから、告白されても断るだけなんだけどね。 今では、あたしの変人さが伝わったのか、告白してくるやつなんていなくなってしまったけど。
色々昔のこととか考えながら歩を進めると人気のない橋に差し掛かった。あたしはそこで足を止め、柵に体重をかけて少し身を乗り出して、橋の下を流れの速い川を眺める。落ちたら一たまりもないわねと思っていると、次の瞬間、背中をどんっと押されたと思うと、あたしの身体はすでに橋から飛びだしていた。あたしは咄嗟に橋の柵につかまる。 すると、あたしの背中を押したであろうやつが、近づいてきて
「あら?自殺志願者ー?」
とあたしを見下ろしながらくすくすと笑っている。金髪のツインテの女だった。
「あなたが勝手に落としたんでしょ!!」
あたしは目を三角にしながら女を怒鳴る。女はそんなことはどうでもいいと思っているのか、あたしの言葉には何も答えずに
「あなた、面白くないのね。普通、人間って死にそうになってるときは泣いたりとか悲鳴をあげたりとかするもんじゃないの?」
女は手を自分の顎にからませながら、
「ああ!わかったわ!あなた、死のうが生きようがどうでもいいのね!!だから助けてとも言わないし、パニックにすら陥ってないのね」
女はそう言って、あたしを一瞬ちら見した後、ぐいっとあたしの腕を引っ張って、橋の上に投げ入れた。 相当な力持ちなのね。
「まあ、人間と比べたらそうかもね」
とか意味不明な言葉を放ち、
「面白くないわ。もっと喚いてくれたら落としてやってもよかったのに」
そして女はあたしに手を差し延べて、
「あたしはテルル。あなたは?」
鐘城呼酉と答えると、テルルと名乗った女は
「ふうん、なんか古代人みたいな漢字を使うのね」
と台詞を吐き、
「あ、あなた腐女子なのね」
あたしはその台詞を聞いてぎくうっと肩を震わせる。
「あなたが本屋で買った本、今日発売の薔薇本でしょ?」
どうやらさっきの間に見られていたらしい。
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