元素本編 | ナノ




鐘城呼酉の憂鬱





あたしは鐘城呼酉。私立のマンモス高校に通う高校二年生。


好きなものはアニメに漫画、ラノベとか、とにかく二次元が大好きなの。
あたしにとって二次元は生きがいでもあるわ。
三次元なんてつまらないばかりだし、外に出ればそこらへんにうざいリア充がたかっているだけ。
友達はほとんどがネット友達で、リア友なのは弓削香くらいかしら。
そんな弓削香も学校で普通にお話して仲良くなったわけじゃなくて、ネットで知り合ったの。弓削香とあたしは小学校も中学校も高校も一緒だけど、リアルでは一つも会話しなかったわ。だけどネットで友達になって、よくよく聞けば同じ学校に通ってることが判明して、それからリア友になったのよ。
だからあたしの生活にネットがないのはありえないことなの。ネットも二次元と同様にあたしの生きがいよ。


あたしにはネット友達以外の友達なんていらない。あたしはものごころついた頃から友達をつくる気なんてさらさらなかったわ。
幼稚園で一人で遊んでると母親がそれを心配して、よく「呼酉ちゃん、お友達と遊ばないの?」と言ってたけど、あたしはいつもその問い掛けに「友達なんかいらない」と答えてた。


そんなあたしだったけど、中学生のときにいきなり不登校し始めた。


あれは中2の秋だったかしら。いつもと変わらない通学路を歩いていたら、目の前のリア充野郎たちが−−通行に邪魔だったんだと思う−−雀を蹴って死なせたの。
あたしはそれを見て、人間なんて所詮その程度の生き物かと思った。
よくはわからないけど、簡単に生き物を死なせてしまう…なんて言えば伝わるのか言葉が見つからないのだけれど、そんな些細なことで人間は他の生き物の命さえも自由に奪ってしまう。それがとても嫌だった。
それからあたしは腐った人間の巣窟と化している学校にいるのが嫌になって、不登校になったの。


…そのくらいで?って思うでしょうけど、あたしにとってはとても重いことだったのよ?


でも、高校進学があるし、親もものすごく心配してるしで、あたしは中3の秋から再び登校するようになる。
不登校していた間に弓削香とネットで知り合い、再び登校したときにリア友になった。
自分で言うのもあれだけど、成績はいいほうだったから進学は何とかできたようだったけど、高校生になってから留年しない程度に欠席するようになった。


今は高2の春。相変わらず不登校なあたし。そんなあたしが気になる漫画の最新巻を買いに本屋へ足を運ぶと、そこには中学時代のクラスメートが複数いた。そいつらはあたしに気付いて、コソコソとあたしを見ながら何か言っていたけど、あたしはそれにお構いなしでいつもどおりに漫画を買って本屋を後にする。







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