これから窒素が語ったことは相当長かったので、俺がまとめて代わりに語るとしよう。 どうやら窒素たちは俺の学校に潜入しようとしているらしい。理由は俺の学校に誰かがとんでもないものを隠しているらしく、それを手に入れるためなんだとか。そのとんでもないものが何なのかさえもわからないようで、この件がウラン争奪戦に関係があるのかないのかもわからないという。他にも敵と思われる元素も潜入しているらしく、多分俺の傷を治した保健室の先生もその何かを巡って潜入しているのだろう。潜入するにはテルルが持つ能力が必要で、テルルの能力で記憶を操作し、窒素たちを前からこの学園に通っていた生徒とインプットさせるのだそうだ。
「あたしは出来れば男子校に潜入したかったわ」
テルルは口をアヒルにして言う。
「それはどうでもいいんです!ほら、さっさとやれ!!」
テルルはえー、いやだーとかぐちぐち言っている。窒素はそれに苛立つばかり。 ん、まてよ?
「なあ、普通に二頭身の姿して潜入すればいいんじゃないのか?そっちのほうが授業中とか関係なしに調査できるし、もし敵に顔が割れてるなら小さいほうが目立たないと思うんだけどなあ…。わざわざ記憶改変する手間もはぶけるし」
と、俺が言えば、まわりの全員が固まっていた。しばらく沈黙が続いて、その沈黙をやぶったのは窒素である。
「そうか…!!!!その手があったんです!!!!!」
今まで気付かなかったのかよ。馬鹿な俺でも気付いたことだぞ。ひょっとしてこいつら、俺よりも馬鹿なんじゃあ…。
「よし!そうするんです!!てことで竜飛、お前の家にちぃたちを住まわせろなんです!」
は?
「お前、ボロアパートで一人暮らしなんだろ?今まで一人で寂しかったろう。これからはちぃたちと一緒に楽しい毎日が送れると思えば、ちぃたちを住まわせることくらいたやすいだろ。プラス二頭身なら場所もとらないしな!」
窒素はめちゃくちゃな理論を言い放って、俺が反論する間もなく、てなわけで今からみんなで竜飛の家に突入なんです!とか言って一人で勝手に盛り上がっている。
「あたしはやめとくわ」
とテルルは言い、隣にいたフードの女の腕を掴み、
「あたしはこの子のとこにお世話になるから」
それを聞いたフード女はええええっ!!?と慌てふためいている。そんな彼女にテルルは満面の笑みで、
「腐女子同士仲良くしましょ!」
…腐女子ってなんだ?何か気になるところだが、テルルの話に首を突っ込むと後々取り返しのつかないことになりそうなので深く突っ込まないことにしているんだ。
それとカルシウムも一緒には住まないと言い、結局窒素とウランだけを住まわせることとなった。
てか、だいたい何で俺、ここに連れて来られたんだ?俺がいなくても話できただろうに。俺がしたのは潜入方法を編み出したことくらいだぞ。
「いやあ、べつにお前いらなかったけどテルルは紹介しとこうかなあって思って…」
いらんお世話だ。何故かはわからないが、なんとなくテルルには警戒が必要と俺の脳みそが訴えてる気がするんだ。 揚句の果てにこんなところに着ちまったせいで窒素まで住まわせないといけなくなっちまったじゃないか。数分過去の俺よ、どうして軽い気持ちであんな協力的なことを口走ったんだ。
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