ていうか元素、学校にもいんのかよとか思いながら教室に戻った俺は授業を勝手に抜け出したことで早速担任に怒鳴られた。背中痛かったんだよ、って言っても傷なくなってたら信じてくれないだろうな。 ったく、熱血教師は欝陶しくてかなわない。
そんなこんなで早くも放課後。 俺が教室を出ようとしたそのとき、俺はブレザーの裾をくいっと引っ張られた。 誰かと思って後ろを振り返ると鋼島だった。
「何だ?」
と俺がきけば、鋼島は
「べつに…」
と答えた。 べつにじゃないだろう。裾引っ張ったんだから何か用があるんじゃないのか。 俺が不思議そうな顔をした瞬間…
「ね!この人、絶対元素連れてるよ!」
と今まで聞いたことのない声が俺の耳に届いた。 それと同時に鋼島は「しゃべるなって言っただろ!」とかなんとか慌てて持っていた鞄に言い、小声で言ってるつもりのようだが俺には丸聞こえだった。 俺は恐る恐るきいてみた。
「おい…その鞄の中、何が入ってんだ?」
それを聞いて鋼島はカチンコチンに硬直してしまった。 これは困ったな…。俺的考えでは多分鋼島の鞄の中にいるのは元素だと思う…。ウラン摘みあげて俺も連れているって言えばいいんだろうけど…でももし違ったらどうしようもないしな…。 俺はめちゃくちゃ悩んだ。悩んで悩んで悩みまくった。それが顔にもでていたのだろう、鋼島はそれを見て眉間にしわをよせながら
「ここじゃあれだから…とりあえず屋上に行かないか?」
と言った。
それには俺も大賛成で、二人で屋上に行こうと教室を出ようとすると、担任の呼び出しを再びくらっていた斎が戻ってきて、
「あれ?りゅーひ、転校生と帰んの?」
けろっとした顔で言う。
「…ああ。あ、でも今日はこいつと二人だけで話したいことがあるからお前は先に帰ってて」
斎はちょっとばかし眉間にしわをよせて、一秒後には満面の笑みになって、
「おう!了解!!じゃあ、俺は先に帰っとくぜ!!」
そう言ってそそくさと自分の席に戻り、鞄を取って、俺たちに満面の笑みで手をふりながら猛ダッシュで廊下を駆け抜けていった。
悪いな、斎。鋼島が連れてるのが元素だったらお前にも話すよ。
そんな俺と斎とのやり取りを見て何か思ったのか鋼島は
「君たち、いつも二人で帰ってるの?」
ときいた。
ああ、いつも二人で帰って遊び放題してるぜ。
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