斎よ、本当に不思議なことが起きちまったよ。
こうして俺はウランを家に住まわすことになったのだが、学校を途中で飛び出し、とんでもないことに巻き込まれ、思考回路がショート寸前だった。
学校であったことに関しては聖史がうまく丸めてくれたと斎が後日言っていた。さすが学級委員長。一方、斎はただただ呆然と突っ立っているだけだったんだとか。 聖史がどういうかんじで丸めたのか気になるところだが、それは置いといて…聖史と斎もウラン匿り作戦に協力してくれることとなり、基本俺の家で匿い、学校の間は連れて来て俺が面倒みれないときは二人に面倒をみてもらっている。
ちなみに俺の背中の傷はまだじんじんとする。これ、ガラスまだぶっささってんじゃねえだろうな。
しかしそんな中、ウランは一向に目覚めなかった。 ききたいこととか山とあるのに。
そのまま数日がすぎた頃だ。 うちのクラスに転校生がきた。 高校で転校なんて滅多とないぞ。
「家庭の急な事情で今日からこのクラスの仲間となる"鋼島乃裏"(こうじま・ないり)くんだ。みんな仲良くしてくれな」
鋼島は担任による紹介が終わると同時に一礼した。転校生が来るなんて思ってもみなかったのだろう、クラスの連中は騒いでいる。 そんな中斎は、
「まあまあいい顔してるんじゃね?」
とかあーだこーだ言っている。
担任は鋼島に席を教えていた。ん?なんか俺のほう指差してるような…。
どうやら鋼島の席は俺の後ろの席のようだ。
鋼島は自分の席に行くときに俺の胸ポケットをじいっと見つめていた。こいつ、霊感とかあるのかな。胸ポケットにはウランが入っていた。 俺は少々焦りながら鋼島に「よろしくな」ととりあえず簡単に自己紹介しといた。 鋼島は俺の目を見るだけでうんともすんとも言わず、自分の席に着いた。うおお、俺すべっちゃった!?せめてよろしくの一言くらいあってもいいじゃないかっ! 俺の心の叫びが届いたのか、鋼島はボソッと「錐川ね…覚えとく」と言った。
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