こうして最初に戻るわけです。
「元素?」
と、俺が問えば少女はバカなものを見た目で
「元素って言ったら元素でありますです」
元素って…。人間の姿してないだろ…。
「確かにそうでありますですね。僕ちゃんたちは特別なのでありますですよ」
少女はくすりと笑い、
「僕ちゃんはラドン使い」
そして少年のほうを指差し、
「あの人はラジウム使い」
最後に俺の胸ポケットを指差して
「そしてその人はウラン使い」
ウランは知っているが、ラドン、ラジウムなんて聞いたことないぞ。ていうか、使いってなんだ。お前らは元素じゃないのか。
「元素でありますですよ?それより早く師匠を渡してくださいです」
ラドン使いと名乗った少女は手を出している。
「誰が渡すか」
俺は嫌がるやつを敵に明け渡すほど腐った人間じゃないんだぜ?
挟み撃ちにあった俺は色々逃げる方法を考えた。はなから闘うことなど頭にない。こいつらと真っ向勝負しても俺が負けることは目に見えている。歩道橋の下は道路で車がたくさん通っている。ここから逃げるには飛び降りるしかなさそうだが、ここから飛び降りれば、まず命はないとみていい。それくらいの高さだし、車も通っているからだ。ほかに方法はないかと考えている間にラドンは鎌を構え、
「渡さないのなら殺してでも奪うまで!」
と言い、鎌を振りかざしたその瞬間―― ガッと大きな音がしたかと思えば、ラドンは吹っ飛び歩道橋の柵に激しく身体をぶつける。それを見て武器を構えたラジウムも瞬く間に吹っ飛ばされた。
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