果物本編 | ナノ




ごぉ







「あら、あなたは驚かないのかしら?あーわかったのです!あなたは他の果物の精をお持ちか、もう帰されたのでは?」


「うん、正解だよ。まだ帰してはないけどね…。でも、今は無理矢理国に連れていかれちゃったけど…」


ひめりんごは僕の言葉を聞いて、ぴくりと眉を動かしてから、


「マンゴスチン政権ですね!」


と言った。


「マンゴスチン女王は世界征服がとてもお好きなお方なのです!超貪欲でこの世のものは全て自分のものにしなければ気が済まないらしいですよー。姫にインプットされているデータによると、マンゴスチン女王は果物の王国を支配すると、人間界も自分のものにしたくなったとかで、今から人間界を征服するとかなんとか…」


そのためにキウイたちを連れ去ったのか?


「はあい。彼らはドリアン政権の人たちですからねえ。マンゴスチン女王に従わせるためには任務を人間の願いを叶えるんじゃなくて人間界征服に変更し、人間界に再派遣して人間界征服をさせるんだそうですー」


でもそんなのみんな反対するだろ…。


「反対した者は…」


ひめりんごは自分の右手の指を親指以外全部とじて、自分の首を親指で切るふりをしながら、


「死ぬしかありません!」


笑顔でそう言った。
そんな風に言われると、見た目は可愛いのに中身が怖そうだよなと思う。


じゃあ、そう言うひめりんごはどうなんだ?ひめりんごは…やっぱマンゴスチン側なのか?


「いいえ。姫にはドリアン政権の情報もマンゴスチン政権の情報もインプットされています。なのでどちら側でもないのです。しかーし、姫は魔力が枯渇しています。なのでどっちの味方につこうがつかまいが、好き勝手してても姫が処刑されたり、姫の居場所が他の精たちにばれることもありません。つまり、姫は果物の王国に存在するべき存在ではないと言うことです」


そう言って、にこりと微笑むひめりんご。やっぱこの子、ちょっと怖い。


「姫も本来なら普通の精として生まれるはずでした…。お兄様がいらないことをしたから…」


お兄様?


「お兄様は…姫の魔力を奪いました。なぜか。それは、姫の中にドリアン政権の情報だけがインプットされていたからです。姫の種が生まれたのはドリアン政権からマンゴスチン政権に変わる少し前。マンゴスチン政権に変わると、ドリアン政権の情報がインプットされていた果物の精の種は、砕かれてしまう。お兄様は姫を守りたいがために、姫の魔力を奪い、念のためにマンゴスチン政権の情報をインプットして、そこの女の子に姫の種をたくした」


ひめりんごのお兄さんってまさか…!


「そう…。姫のお兄様はあなたたちが会ったシルクハットの人のことです」







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