その後、ひめりんごはゆっくり時間をかけて順調に育ち、ひめりんごを植えてから三週間くらいたった頃だろうか、やっと実がなった。
「「やっとなったあああ!!」」
僕といそのちゃんは大喜び。 いそのちゃん曰く、今日の朝にはすでに実がなっていたみたいだし、実も光ってるし、そろそろ生まれてくるんじゃないかな。 あ、でもひめりんごは育つのが遅れてるから今日中には生まれないかもしれない。
いそのちゃんは目をキラキラさせながらひめりんごを眺めている。
「お兄ちゃん、食べていいですかあ?」
「まだ駄目だよ(まだじゃなくてずっとだけど)!これからすごいことが起こるから」
と、僕が言い終えた瞬間に実は一気に光を増し、膨張しはじめた。
「お兄ちゃん!このままじゃあ、実がはじけちゃいますう!!」
「大丈夫!このあと、びっくりするのが生まれてくるから…!」
ひめりんごはどんどん光を増して実がはじけた。
果物の精が生まれた。
またもや女の子である。…女の子多いな。みつあみにエプロンドレスを着ている。
「姫(ひめ)を呼び出したのは誰でしょう?」
いそのちゃんは口をぱくぱくさせたまま硬直している。ここは仕方ないから僕が話すとしよう。
「この子だよ、芥原いそのちゃん」
「まあ、そこのかわいらしいお嬢さんが姫のご主人様なのね!姫はひめりんごの精でございまする。よろしくお願いしますね、ご主人様」
ひめりんごはにこっと微笑むが、いそのちゃんはまだ硬直しているようだ。一応、僕も自己紹介しておいた。
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