果物本編 | ナノ




にぃ







放課後になり、いそのちゃんとの待ち合わせ場所へ急ぐ。
普通なら一日立てば芽はでているだろう。


鶫と枚聞さんにはこのことを言わなかった。言ってもよかったんだろうけど、何故か言う気にはなれなかった。もしかしたら駄目かもしれないという不安もあったのかもしれない。


待ち合わせ場所…そこにはもうすでにランドセルを背負ったいそのちゃんの姿があった。


「お兄ちゃん!」


「ごめん、待った?」


「ううん。わたしもさっき来たばっかりだから大丈夫です!」


満面の笑みを浮かべるいそのちゃん。
やっぱ小学生は可愛いなあ。いやいや、そんなことより。


「種、植えてからどうなってた?」


「んー…わたしも今日はまだ家に帰ってないからわかりませんけど、朝見たときはまだ芽はでていませんでしたよ!」


まあ、キウイのときも朝には芽はでていなかったし、まだ油断はできないけど良好なだといいなあ。


そのあと、いそのちゃんと色々会話して、待ち合わせ場所から15分くらい歩いただろうところにまあまあ大きな一軒家があった。


「わたしの家です!ささっ、お兄ちゃん入って入って!」


僕は半ば強引にいそのちゃんに家に入れられ、お邪魔しますも言う間もなく、いそのちゃんの部屋につれていかれた。


いそのちゃんの部屋は全体的にピンクで彩られ、姫系グッズがたんまりと置いてある。
そんな中にぽつんと窓に植木鉢が一つ置かれていた。


「…いそのちゃん、あれが昨日植えた…」


「そうですよ!…まだ芽がでてないみたいですね」


植木鉢からは芽がでている様子はまだなかった。普通ならこの時点で芽はでていてもおかしくないはず。一体どうなっているんだ。


とりあえず僕といそのちゃんは水をやり、少しだべってから僕はいそのちゃんの家をお暇することにした。


「じゃあね、いそのちゃん。また明日」


「待ってくださいです!わたし、送っていきます」


「いや、もう暗いから危ないよ。僕は一人で大丈夫だから…」


そう言うと、いそのちゃんはぷうっと頬を膨らませて「わかりましたあ」と言った。


僕はふと思ったことを口にした。


「…ねえ、いそのちゃん、家に誰もいなかったけど、親御さん仕事なの?」


「うん!そうだよ。二人ともお仕事、夜遅くまであるから…それまでわたし、一人なのです。一人っ子ですから!」


そうなのか…うちの家庭と同じようなかんじだ。ただ決定的に違うのは、うちにはだらだら大学生の姉がいて、いそのちゃんは一人っ子ってとこだ。


やっぱこういう場合、だらだらしているだけの姉でもいたほうがいいのかなあ。







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