「見つけたわよおおおお!!!!ぱりいいいんっっ!!!!」
部屋に飛び込んできたのはピンクの髪の毛をしたツインテールの女の子。今度はニ頭身ではなくて、普通に人間と同じサイズであろう。うん、でもまあ、窓を飛び込んで割って入る時点で人間ではないのかもしれない。てか、空からきたのかな。
「ふいーっ。もうっ!!大変だったんだからあっ!!早く国に帰らないとっ!!行くのよっ!!ぐいぐいっ!」
いちいち効果音を発するのか。女の子はライチをつまみあげて、自分の鞄の中につめようとする。ライチは泣きながら抵抗している。
「君も果物の精なの?」
ときいてみたところ、女の子は「じとーっ」と言いながら、僕を睨む。
「あっ!あなたがキウイのご主人なのね!自己紹介が遅れました!わたしは果物の王国国王の側近、かつ果物の王国取締役のさくらんぼの精こと、チェリーでございます!以後、お見知りおきを!キウイがお世話になってます」
「にこっ」と言葉を発しながら微笑み、「ぺこり」と言ってお辞儀をするチェリー。やっぱ効果音は言うんだ。 いやいや、そんなことより!
「なんで大きいの!?果物の精ってニ頭身じゃないの!?」
チェリーは「しゅばっ!」という台詞効果音とともに、頭を上げ、きをつけをし、
「はあい、それはですねえ。人間界での任務を終えた果物の精は王国に帰ると、このような姿に変貌をとげることができるのです。わたしはとっくの昔に任務を終えておりまする!ちなみに任務を終えてもニ頭身にはなれますよ!ほら!ぽぽんっ」
チェリーがぽぽんっと言った瞬間に、チェリーはニ頭身になった。そのとき、チェリーの鞄に押し込められていたライチが飛び出す。チェリーはそれに気付いていないようで、
「どうですか?ふふふ、すごいでしょう?…ん?………ああぁあああぁああぁあああぁああぁあああぁ!!!!!!!」
気付いたようだ。 そしてチェリーは「びしっ!」と言いながら、僕を指して、
「あなたっ!!計ったわね!!」
こいつ、バカかもしれない。
「バカだろ、こいつ」
あ、キウイさん、言っちゃうのね?
「というか、ライチ。お前、国に帰るでし!お前のご主人は、お前と二度と会えないのを覚悟したから、願いを叶えてもらったでし!お前がそうやって勝手に戻ってきたら、ご主人の覚悟はどうなるでしか!」
ライチは目をうるうるさせている。 おおお、キウイもたまにはいい事を言うじゃないか。
そんなところにチェリーが割った窓に一人の少年がいた。 少年を見るなり、チェリーは
「あ、チェリオ」
と言った。知り合いなのかな?ってことは果物の精?
「大変だ。早く国に戻らないと!」
「ええっ!?どういうことよー!!何があったの?」
「今、説明している時間はない!」
「ライチは?ライチはどうするの?」
チェリーは慌てふためきながら、ライチを見遣る。
「そいつも連れていけ。とにかく急いで!」
チェリーは人間サイズに戻り、ライチを鞄に突っ込んで、チェリオと呼ばれた少年とともに割れた窓から僕の部屋を出た。 何の挨拶もなしに。
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