そこからもう少しまっすぐ歩いた先に枚聞瑠璃の家はあった。
「でかっ!!」
思わず声をもらしてしまうほど、枚聞瑠璃の家はでかすぎた。昔からある純和風家屋っぽい。
「ほら早く!!インターホンを押せでし!」
いや、待てよ!いきなり知らない人が呼び出してきたら、警察とか呼ばれかねんだろ!! ここは見えなくなる魔法が使える果物の精に頼むべきだろう。 てかインターホン押さなくてもブラッドオレンジが呼んでくればいいじゃないか。
「あ、確かにそうでしね」
一人納得したキウイはブラッドオレンジを蹴り飛ばし、
「さあ!!さっさと呼んでくるでし!」
と黒いオーラをまとってブラッドオレンジを踏みまくっている。 そんなことしてたら呼びに行けないだろうと思い、僕がキウイとブラッドオレンジを引きはがそうとした瞬間――ばうわうとものすごい勢いで吠えている犬が門の前にまでやってきた。ものすごい喧騒ですごい厳つい顔だし、間に門がなかったら僕はすぐに噛まれていただろう。こいつはこの家の番犬なのか?
と、そこへ…
「こら!ダメでしょ!!」
と一人の女の子が門に近寄り、犬を前にして眉間にしわをよせて言った。 女の子が来ると犬はしゅんとなり、門を離れて家屋の奥に隠れた。多分だけど自分の犬小屋あたりに戻っていったのだろう。
女の子は犬が戻るのを見届けてから、僕に向き直り、
「ごめんなさい。あの子は悪気はないんです。うちの番犬だから…家の者以外が門に近寄るとすぐに吠えるんです」
やっぱりあの犬は番犬だったのか。
「えと…あなたは?家の者に用事ですか?」
ときかれたので、僕は簡単に自己紹介をし、
「ここの家に住んでる枚聞瑠璃さんに用事があるんですけど…」
と言うと、女の子は目をぱちくりさせて、
「わたしがその枚聞瑠璃ですが…」
と言った。
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