果物本編 | ナノ




にぃ





そんなこんなで僕はオレンジジュースを買いに近くのスーパーに行くことになった。ったく、なんで僕がこんなことを…。自分で買いに行けばいいじゃないかと言いたいところだが、あんな二頭身のが外をふらふらされても困る。見えないようにする魔法を使ったとしてもさすがに買い物はできないからな。魔法で等身大にでもなれば話は別だろうがそれは僕が嫌だ。あの性悪キウイが等身大になったらついに僕の部屋はあいつに占拠され、僕は家を追い出されるだろう。二頭身だからこそまだ勉強机を占拠するだけにとどまっているのだ。これ以上占拠されてしまえば僕の居場所はない。


そんなことを考えつつ、僕はスーパーでオレンジジュースを買い、帰路を歩んでいた。もちろん果汁100パーセントのを買いましたとも。


「あー、憂鬱だ…なんで僕がこんなことを……へ?」


ぶつぶつ独り言を言いながら、ふと空を見上げると何か太陽光に照らされてキラーンとしたものが猛スピードでこっちに向かって落ちてくるではないか。


「ぎゃあああああああああああああ!!!!!!!へぶっ!!」


僕は降ってくる物体をよけようと身体を移動させようとしたところ、運動神経壊滅の僕には間に合うはずもなく、台詞の『へぶっ』の部分で降ってきた物体と顔面衝突してしまった。


「…………いってえ…」


実際のところ思ったよりも痛みはないが、額がじんじんするのだけはわかる。ていうか、さっき落ちてきた物体は何だったんだろうか。まさか隕石…!?


恐る恐るあたりを見回してみる。隕石のようなものは落ちてはいなかったが、代わりに二頭身の生き物が転がっていた。


もうお分かりだと思うが、二頭身の生き物ときたら果物の精に間違いないはず。見たところ女の子っぽい。それから僕とぶつかった衝撃で脳震盪を起こしているのか彼女の目はぐるぐるまきになり、かつ彼女はぐったりとしていた。


「うわあ、死んでないよな…」


そこらへんにあった木の棒でそいつをつっついてみると、ぴくぴくしている。どうやら息はあるようだ。


このまま放っておくのもいいが、人に見えない魔法を使っていないかもしれない。そうなるとあとで厄介なことになりそうだし……そんなこんなで僕は地面でのびている果物の精を連れて帰ることにした。







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