果物本編 | ナノ




果物と人間と拒絶





鶫のところには桃が、僕のところにはキウイがやってきて各々の家で居候している。鶫が水をやらなかっただけあって桃は立派な捻くれ者に。僕は真面目に水をやったというのに性悪キウイが生まれてきてしまった。今のところ桃とキウイとしか果物の精には出会ったことがないから何とも言えないかもしれないが、もしかして果物の精って基本みんな性悪なんじゃないかと思ってしまう。真面目に水をやってもあんなのなんだから、そうでなきゃいけないと思いたい。だって、もしそうじゃないなら僕が報われないじゃないか。


とまあ、そんなことはさておき。今日もキウイ様は相変わらずであった。


「おいしふき!ジュースをとってこいでし!」


性悪キウイは僕の勉強机を陣取っている。そしていつものように僕をこき使うのだ。


「何のジュースがいいんだ」


いいようにこき使われてる僕もどうかと思うのだが、ここで従わないと制裁が待っているからなあ。キウイ嫌いの僕には口いっぱい皮ごとキウイの刑は絶えられない。


「オレンジジュースが飲みたいでし。あ、果汁100パーセントでよろしく」


こいつはキウイのくせにオレンジジュースを飲もうと言うのか。それに悪いがオレンジジュースは昨日で切らしているんだ。昨日僕が学校から帰ってきてオレンジジュースを飲もうと冷蔵庫を開けたらなくなっていたから、多分姉ちゃんあたりが飲んだんだと思う。


「じゃあ、買ってくればいいでし!てことでよろしく」







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