・・・先パイ。
我らが鬼兵隊は、晋助さまの思想と信念と私たちの誓いと、
それらのもとに集い、こうして存在してるっスよね。


・・・そうでござるな。





目指す場所は確かにあって、
私たちは晋助さまに着いて行くだけっス。

晋助さまは言ったんです、
その前へ前へと進む道の先にあるもの以外は全て捨て行くと。

だけど・・・





それでも、晋助さまは---
ずっと、拾い上げたいのを押し止めているみたいに見える時があるっス。
晋助さまは全て捨てて来たと言ったけど、
私たちの知らない、あの松陽先生や桂や白夜叉たちとの時間を、絆を、ずっと抱えている気がするっス。

だから、こうして晋助さまが毎年萩へ行くのを見ると、
正直、晋助さまがどこか違うところへ行ってしまいそうな気がして・・・


・・・そうでござるなぁ。





晋助も、自覚はしているのかもしれぬでござるな。

拙者らの進もうとする道は決して容易くない。
その途中、過去と現在を去来する心の葛藤は必ずあるでござる。

---確かに、主の言う通り、晋助には
捨てきれぬ秘めた想いもあるでござろう。

自分の根本である師の教えとそれに付随する過去の想いと、
世界を敵にまわしてもひたすらに目的を達成せんがために進む非道さと。

その矛盾に苦悩しながら、己の選んだ道を進もうとしているでござるよ、晋助は。

・・・だが、それは晋助にとってはやはり苦しいものでござろうな。


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