翌日。
相変わらずのバザールの中で、オリヴェートは大荷物を抱え、リンの前に立っていた。
「帰るんだな、オリヴェ」
「うん、弟の側にいてあげなくちゃ」
「あぁ、そうしてやれ」
頷いてみせるリンに、吹っ切れたような笑顔を見せるオリヴェート。どうやら、完全に立ち直ったらしい。
「リンこそ、ライトを大切にしなさいよ?」
「言われるまでもねェよ!」
笑って返すリンに親指を突き立ててみせて、彼女は真っ直ぐに故郷に向かって歩き出す。その歩みに、もう、迷いなどなかった。
振り返りもしないオリヴェートの背を見送って、リンは、青空を仰いだ。
「ごめんな。今日も、お前の好きな青空だ、ライト…」
だが、その呟きは、バザールの喧噪の中に掻き消えていった。
〔2012.10.21 Song by CONNECT 『あの雲を追って』〕
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