緩む頬をそのままに、パスタの茹で具合を確認しようとお湯から救い上げてみる。
菜の花とサーモンで和風に、パスタの茹で加減はきちんとアルデンテで。
料理に関しては円の方が断然上手だから少し緊張してしまう。
パスタのしなりを見るとあと数十秒程だろうか。
そろそろザルを用意しようかと思った時、トン、と背中に軽い衝撃。
全然気配を感じなかったので飛び上がる程驚いてしまった。
「な、何よ……?」
「別に。どうぞ気にせず料理を続けてください」
そんな無茶な。
ぴったりと背中に寄り添われて気にしないでいられるわけが無い。
文句を言いたいのに、更に腰を引き寄せられて密着する体温に言葉は喉の奥で消えた。
後ろから回された円の手の平が脇腹から下腹へするりと滑って、その動きに嫌な予感を覚えて思わず体に力が入る。
![](//static.nanos.jp/upload/a/atesamours/mtr/0/0/20130411235652.jpg)
「っ、円……火使ってるのよ!?」
「……エプロン姿って妙にそそりますよね」
(ね、って言われても)
同意を求められても困るが、円がエプロン好きだということは以前から薄々気づいていた。
私が料理することは基本少ないけれど、こうしてキッチンに立つと彼はいつも楽しそうにちょっかいを出してくるから。
まあ、だからこそ今日こんな恰好をしているわけで。
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