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2012.12.2妄想【シンお誕生日記念】


お誕生日だっていうのに、シンは特別なことなんてしなくていいって言う。
いちいち喜ぶような歳じゃないだろ、なんて可愛くないことを言う。

でもどうしてもシンのために何かしたいんだって告げた私に、じゃあ一日中一緒にいて、なんてたまらなく嬉しいことを言った。

そんな可愛くなくて可愛い、ひとつ下の恋人。

「本当に何も欲しい物とかないの?別に買うとか買わないとか関係無く、言うだけ言ってみてよ」
「あーもう、しつっこいな!お前何度同じこと言わすんだよ、キリ無いだろ」

最近のお気に入りである洋楽が小さく流れるシンの部屋。
スローテンポな曲をBGMに、ふたりベッドに入ってどのくらいの時間が過ぎたのだろうか。
既に傾いた太陽。
窓を通して入る陽の光りは、まるでオレンジジュースみたいにとろりと布団の上に広がっていた。

華奢な見た目よりも筋肉のついた彼の腕に絡まるように抱きついて。
さっきから同じことを質問する私にいらつく様子を見せながらも、布団から露出した肩を柔らかく撫でてくれるシン。
言葉よりも雄弁に伝わってくる愛情に、私の頬は緩みっぱなしだった。

(シンのお誕生日なのに、なんか私ばっかり嬉しくてダメだなぁ)

一日中一緒にいたい、だなんて恋人冥利に尽きるお願いだけれど。
でもやっぱり何かお祝いしてあげたいのに。

「……ねぇ、いつでもいいから何か思いついたら教えてね?ケーキだけじゃやっぱり寂しいし……」
「…………」


これ以上しつこくしたら本気で鬱陶しいから、最後に控えめに呟いてみる。
そんな私に、シンはしばらく黙ってから深い溜息を吐いた。

「欲しい物は無いけどお願いならある」
「う……へ、変なことじゃなければ……!」
「……変なことって例えば何?」
「こ、この間みたいなこととか、あと…、え、と……てゆーか例えさせないでほしいかなっ」

しどろもどろになってしまった私を見て口元だけで意地悪く笑う彼。
恨めしげに睨んだって何も気にした様子も無く、シンは布団とともにふわりと私に覆い被さった。

「お願い。せっかくお前に追いついたんだからそのまま歳取らないで待っててよ」

キスができるくらいの距離で、優しくそう囁いた彼に瞠目する。
甘い声とは裏腹に透明な緋色の瞳は真剣なもので。
全てを射抜かれてしまいそうなその色にトクトクと鼓動が速度を速めた。

「……せめてできるお願いにしてよ」
「頑張れよ」

どう頑張ったらいいのか、なんだかこの不毛なやりとりに笑いが込み上げる。

「ふふ、いつも歳なんて関係ねーよって私にお説教するくせに」
「ひとつくらいの歳の差なのに、お前が年上ぶるからだろ」
「ぶってないもん」
「ぶってるよ」

いつも通りのやりとりの後ほんの少し睨みあって、ふわりと降ってきた小さなキスを受け止めた。
何度も軽く重なって、当たり前みたいに私の口内に深く入り込んで。
頭の中がほぐれてしまうような甘いキスに、私はいつだって意識を保つことだけで精一杯になる。

濡れた唇を舐めとる妖艶な表情をぼんやりと見つめて、悔しいなぁなんて思った。

「……何だってシンが勝ってるんだもん、歳くらい私が勝ってたっていいじゃない」

火照った頬を膨らませて言えば、口をぽかんと開けたシンがたっぷりの間の後に長い長い息を吐く。
何その溜息、と、むっとした私の額に軽いデコピンをしたシン。
文句を言う隙も与えられず塞がれた唇は、さっきよりもずっと甘くて激しくて。

「無自覚だからたち悪いんだよ、お前は……」

キスの間に呟いた彼。
言いたいことはたくさんあったけれど、今はただ生意気なこの唇に翻弄されていたかった。




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