2012.10.1妄想【トマ主 冥土の国のアムネシアドラマCD】
どこか遠い場所から聞こえたきた爆発音。
ズシン、と響いた低音を、大きなベッドの傍らでぼんやりと耳にしていた。
(まだ諦めないのか……結構頑張るじゃない)
まあそれでもだいぶ間隔が開くようにはなってきたけれど。
純白のシーツに広がる淡い栗色の髪をするりと撫でて、穏やかな寝顔を眺める。
規則正しく動く胸と、薄紅に色付く頬と唇。
どれだけの間見ていたって飽きることは無かった。
「どんな夢、見てんの?」
答えなんて返ってくるはずも無い、一方通行の問い掛け。
願わくは優しくて幸せな夢を見ていて欲しい。
「俺が出てきたりする?」
お前の夢の中に、俺の居場所はあるのだろうか。
「……俺のこと、恨んでる?」
恨んでたっていいよ。
どんなに憎まれても構わない。
ふ、と緩く開いた唇。
無意識に指を伸ばして、触れる寸前で止まった。
何でだろうね、こんなに近くにいるのにお前に触れることは怖くて仕方ないんだ。
恨まれることも憎まれることも、少しも怖くないくせに。
枕元に飾られた赤いバラを花瓶から一輪抜けば、ふわりと漂った甘い香り。
まだ開花しきっていないそのバラの花を、そっと無防備な唇に押し付けた。
どんな夢を見てる?
「ゆっくりおやすみ……」
お前の世界は俺が守るから。
だから、願わくは……
お前が幸せな夢の中にいればいい。
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