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2013.2.6【COLORS番外編】


廊下に残った香り。
家族のものとは違うその甘い匂いに、ズキンと胸が痛んだ。

後悔はしていない。
央の為なんかじゃなくて、これはぼく自身が望んだ結果だ。
だからこの痛みは罪悪感からくるものなのだろうと思った。

(傷ついた顔、してたな……)

ぼくの出した答えに、泣くことはおろか責めることすらしなかった彼女。
意地っ張りなあの人が見せた表情は、何をしていても頭から離れてくれなかった。

ベッドに仰向けに寝転がって溜め息を吐く。
目を閉じてまず浮かぶのは、あの人の唇の温度と香りで。
考えないようにと思えば思う程に、彼女の全てが鮮やかに蘇ってしまうのは何故なのか。

無防備な二の腕も、上気した肌も。
ふっくらと柔らかな唇も、女性らしい腰も。

ずく、と淡い熱を持った中心。
ジーンズ越しでもその形を主張し始めた自身に嘲笑が零れた。

こんな邪な行為をしていると知ったら何を思うだろうか。
あの人は…、央は……

ベルトを外して前をくつろげれば、ずるりと憐れな姿を見せる塊。
軽く扱いただけで簡単にそれは固さを増して。
くちゅくちゅと響く水音に熱くなる体に反して、思考は冷えていく。

「…っ……」

隣の部屋にはあの人がいて、時折聞こえる生活音にビクッと震える熱杭。
本当に浅ましい。けれど止まらない。

何もかもが真っ白なあの人を思い、穢れた白濁を吐き出した。

手のひらにべっとりと絡み付いた欲は酷く滑稽で。
吐露する場所を失った【本音】は、己の手の中に吐き出されるだけ。

ただひたすらに空しい。

空っぽになった心で自分自身の最低さを思って。
けれどあの人に相応しいぼくで無い事実が、ほんの少しの安心感をもたらしていた。



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