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2011,11,10妄想【トマ主温泉計画】


冥土の執事、スタッフルーム。
トーマとシンの前に広げられたいくつもの旅行パンフレットは、どれも秋の行楽特集のものだった。

「......何これ。」
「温泉旅行に行かない??」
「え、旅行って...、この三人で?」
「うん。」
「こんな所まで日帰りで行けないだろ、まさかお前、泊まりで行こうとしてるわけ?」
「うん。」

ニコニコと楽しそうにパンフレットの一つを読むマイに対して、シンとトーマは二人顔を合わせて溜息をつく。

「お前ら付き合ってんじゃないの?もしかして知らない間に別れてたわけ?」
「な、別れてないよ!変なこと言わないでよシン!」
「……いや、変なこと言ってんのはお前でしょうが。」
「え?私何か言った??」
「「…………はぁ。」」

先程よりも深くて重たい溜息をついた二人。

「俺と二人で行くのは嫌ってこと?まぁ、別にシンが邪魔って意味じゃないんだけどさ。…いや、邪魔かな、やっぱ。」
「おい…、分かるけど正直に言うなよ。」
「………あ…。」

黙って俯いてしまったマイ。
別に責めたつもりは無いトーマだったが、恋人として彼女の考えていることが理解できないことは確かなのだ。
暫く何か言いたそうにしていたマイが、小さく呟くように口を開く。

「…だってね、……恥ずかしかったんだもん。」
「?何が?」
「………トーマと旅行したいって、恥ずかしくて言えなかったんだもん。」

真っ赤になったマイを見て、一瞬ぽかんとしてしまったトーマ。
口角が上がるのを抑えることができなかった。

「…お前、ほんと可愛いね。」
「すぐそうやって子供扱いする…。」
「子供扱いなんてしてないよ。」
「うそ。」
「嘘じゃないって。…お前もすぐに分かるよ。」

すっと指先でマイの頬を撫でる仕草が、この先の何かを予感させて彼女の胸を甘く締め付けた。

兄妹みたいな距離感は、恋人になったからと言ってすぐには変わらない。
それでもやっぱりただの幼馴染だった頃とは確実に何かが変わっていた。

「………俺帰るわ。」
「「あ…。」」


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