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2011,11,23妄想【CZメンバーでゲレンデへ→円と撫子】


「スノボしに行かない?」
「...いつもながら唐突ね、鷹斗。」
「いいね!冬はやっぱりゲレンデで雪にまみれないと始まらないよね!」
「央、意味が分かりません。」
「俺は構わないぜ?お嬢はスノボやったことあんのか?」
「一度だけ......。」
「前に行った時は散々スッ転んでもう嫌だって泣いてたよな。」
「......小学校の頃の話じゃない。」
「案ずるでない、そなたには私が責任を持って教えようぞ。」
「へぇ、時田滑れんだ?すげぇ意外。」
「うむ。経験は無いがやってやれぬことは無いであろう。私だからな。」
「その自信はどこから来んだよ...。」
「あはは、終夜らしいね。大丈夫だよ、撫子。俺がちゃんと教えてあげるからね。」
「......俺だって教える事くらいできる。」
「まあまあ、じゃあ間を取って僕が撫子ちゃんに教えてあげるよ♪」


(...困ったわ。どうしたらいいのかしら。)

昨晩降った雪はゲレンデを覆い、座り込む私の体を半分程隠していた。
手や足の先は冷えてほとんど感覚が無いと言うのに、右足首だけがやたらとその存在を主張する。

待っていて。そう言った鷹斗と理一郎の言うことを聞くべきだった。
そう後悔したところでもう遅い。
ズキズキと痛む足を撫でた。

少し慣れたからといって一人で滑り、コースから外れてちよっとした窪みに足を取られて動けなくなってから恐らく30分が経っただろう。
いい加減体が冷えてきた。

少し離れた場所から人が滑っている気配がする。
たぶん大声を出せば聞こえるだろう。
しかしなかなかそれをする勇気が出ず、自らで何とかしようとしたがやはり無理そうだ。

(大声、出るかしら...。)

「助けて」と叫ぶべきなのかなんて考え込んだ時、近くで雪が軋む音がした。

「......何してんですか?あなた。」

ポカンとした顔でそこに立っていたのは円だった。

何してるかなんて、見て分からないものだろうか。
わざわざ尋ねるあたり本当に円は意地が悪いと思う。

「......別に何も。」

だから私も彼に対していつも素直になれないのだ。

「何もって。休憩するなら下に降りて店の中でした方がいいですよ、体が冷えます。もし立ち上がれないなら手を貸しますが?」
「..........。」

逆にあまり普通に言われると今度は私が意地になってしまう。
黙り込んだ私の頭の上で、はぁ、と大袈裟な溜め息が聞こえた。
不意に空気が動く気配がして、円が行ってしまうのかと急いで顔を上げる。
待って、と喉まで出かかった言葉は予想外の感覚に驚いて消えた。

フワリと浮いた体と反転する視界。
彼に抱き上げられていると認識するまで暫くかかってしまった。

「ちょ、ちょっと円!?降ろしてよ!」
「暴れないで下さい、重いです。」
「っ、失礼ね!だから降ろしてって言ってるでしょう??」

必死に抵抗してもびくともしない。
揺らした足に痛みが走った。

「...っ!」
「...足が痛むんですか?大体鷹斗さんとりったんさんはどうしたんです?あなた一緒にいたでしょう。」
「......勝負をつけてくるって。」
「ああ、それで待ってろと言われたのに勝手に行動してこの状況ってことですね。」
「............。」

図星をつかれて大人しくなった私を横目でちらりと見た円が、ふ、と優しく笑った。
抱きかかえられているせいで彼の顔がやたら近くて、顔に熱が籠る。

「あなた初心者のくせに白いウェアなんて着るからいけないんですよ。ぼくが見つけなかったらどうするつもりだったんですか?」
「...円だって白いじゃない。」
「ぼくは上手いからいーんです。」

いつもと同じ憎まれ口を叩きあって、ゆっくりと歩くどこまでも白い雪道。
円と触れ合う部分の温かさが、自分でも戸惑うくらいの安心感を与えた。

もう少しこのままでもいい。
そう思ってしまったのは絶対に円には内緒だ。




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