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2011,11,11妄想【CZ政府で超ポッキーの日】


何故いつも人の部屋に集まるのだろうか。
アルコールの瓶と軽いつまみで散らかる机の上をぼんやりと眺めて思う。
しかし文句を言ったところで聞き入れてもらえないことが解っていた為、円は全てを諦めた様な溜め息を吐くしかなかった。

ここはCZ政府、ポジションビショップの私室。
集まって酒を飲み交わすのはこの世界のキングとその右腕のルーク、そして囚われのクイーンだった。

「王様ゲームがしたいんだ。」
「「「.........。」」」

何の脈絡もなく放たれた言葉は、誰にも受け取られることなく床へと落ちる。

「...キング、寝るなら自分の部屋へ戻って下さい。寝言を言うなら自室でどうぞ。」
「あ...、寝言なのね。びっくりしたわ...。」
「寝言じゃないよ。」

ふふ、と笑って言う鷹斗の目は、まるで大好きなオモチャを前にした子供の様に輝いていた。

「王様ゲームって、この世界そのものがあなたの王様ゲームみたいなものでしょー。」
「レイン先輩、何うまいこと言ってるんですかそれどころじゃないでしょう。キングがご乱心ですよ。」
「酷いなぁ、円。」
「王様ゲームだなんて、突然どうしたの?鷹斗。」

撫子の質問に、鷹斗は少しだけ頬を赤らめて躊躇いがちに言葉を選ぶ。
そんな鷹斗の姿を見た円は苛つきを隠そうともせずに彼を睨み付けた。

「...憧れ、だったんだ。普通の学生がやる飲み会とか。王様ゲームって定番なんでしょ?やってみたいんだ。」
「......このメンバーで??」

思わず素で聞き返してしまう撫子。
それもそのはず、この面子で王様ゲームだなんて嫌な予感しかしない。

「僕はいいですよー、楽しそうじゃないですかー。」
「ちょ、レイン先輩正気ですか??」
「今更彼に何を言ったって無駄でしょー?いい加減に慣れたらどうですか、ビショップ。」
「慣れないですよ、ていうか慣れたくないに決まってるでしょ。」

円とレインが静かな言い争いをしている横で、鷹斗がどこから出したのか四本の割り箸をいそいそと撫子の前に差し出す。

「え、と...。私は最初見てるわ。ルールもよく知らないし。」
「ええ、でも三人でやっても意味無いし...。」
「意味って?」

鷹斗の言葉の意味が理解できずに首を傾げれば、またもやもごもごと口ごもってしまう彼。
今日の鷹斗はいつにも増しておかしかった。

「ははぁー、アレですね。なるほどー、それは僕たちだけじゃ意味無いですもんねー。」
「なぁに?何の話なの??」
「これ、ですよ。」

そう言ってテーブルの上に散乱した御菓子の中から一つレインが摘まんだのは、円が作った棒状のプレッツェルだった。

思わずその焼き菓子を凝視する撫子。
鷹斗の言わんとすることを理解し、顔中に血液が集まって行くのが分かった。

「......キング、あなたまさかこんな下らないことの為にわざわざぼくにコレを作らせたんですか?」
「う...、ごめん...。」
「こんな下らないゲームをする為にぼくの仕事を中断させてわざわざコレを作らせたんですか?」
「円、...怒ってる?」
「どうして怒ってないと思えるんですかあなた。何なんですか、ぼくを苛つかせてどうするつもりなんですか本当に。」

いつも以上の剣幕で鷹斗を叱責する円。
ニコニコと見守るレイン。
その様子をただおろおろと見ていることしかできない撫子。
これがCZ政府の通常運転だった。

「はぁ...。もう面倒なんで余計な手間なんてかけずにさっさと撫子さんがキスしてあげたらいいでしょう。」
「っ!?何てこと言うのよ円!鷹斗も、期待した目でみないで!」

鷹斗の熱い視線と、円の冷たい目。
それを一歩外から楽しげに眺めているレイン。
その様子をただ呆れ果てて見ている撫子。
これもまたCZ政府の通常運転だった。

「では、王様だ〜れだ。」
「...何勝手に始めてるんですか、先輩。」
「参加したくないならそれでいいですよー。円君が参加しなければ確率も上がりますから、ね。」
「.................。」

そうして始まった王様ゲーム。
賑やかな時間。

壊れた世界の壊れた大人達の夜はこうして更けていく。



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