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2012,1,19妄想【ネギが嫌いな円】


「……そんなに小さなネギも駄目なの?」

私が料理を作るのは本当に久しぶりだった。
いつも、パパっと円が作ってしまうし、悔しいけれど私より彼の方が上手だから。

でも今日は、アクセサリー作製に集中する円の為に私がお昼を作った。
あまり材料が無かったので大したものは作れず、出来上がったのはレタスチャーハンとトマトのスープ。
それでも円は、「美味しそうですね。」と優しく微笑んでくれた。

「……別に食べられないわけじゃありません、単にチャーハンには合わないだけです。」

お皿の端に小さなネギの欠片を集めて円が言う。

チャーハンにネギって凄く一般的だと思うのだけれど。
咄嗟に出そうになった言葉を飲み込んだ。

大きな手でチマチマとネギを摘まむ姿が、やけに可愛く見えて可笑しくて仕方無い。

「ふふ、次からネギは入れないようにするわね。」
「……バカにしてんですか、撫子さん。」
「してないわよ、…ちょっとだけ可愛いな、とは思うけれど。」

私の言葉に、円の眉がピクッと揺れた。

「バカにしてるじゃないですか。」
「そう?」
「……いい度胸ですね、あなた。」
「え、…きゃっ!」

突然視界が反転して、焦点が合った時には目の前に円の顔があった。
そのあまりの近さに心臓が跳ねる。

「ちょっ、……んっ!」

文句は吐息と共に円の口内へ消えて。

「…ん。……」

ぬるりと潜り込んだ舌が思考を奪う。

「っん、はぁ…。チャーハンが、冷めてしまうわ……。」
「そうですね。」
「せっかく…っ、作ったのに…。」
「ちゃんと食べますよ。」

あなたの後に。
そう耳元で低く囁かれた。



おまけ。

「あなただって好き嫌いくらいあるでしょ、確か海老が嫌いでしたよね?」
「苦手だけれど、食べれないほどじゃないわ。円も少しくらい食べれるように訓練したら?」
「……食べれますよ。」
「うそつき。」
「撫子さんが口移しで食べさせてくれるなら、ネギだろうが何だろうがいくらでも食べますよ。」
「くち、って…チャーハンを??」
「そうですね、かなり舌を上手く使わないと難しいかもしれません。…ほら、頑張ってくださいね。」



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