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2012,1,12妄想【りったん、鷹斗のピロートーク】


【りったんピロートーク】

今日は新月だっただろうか。
部屋の中を包むのは静かな闇だけで。
時々外を走る車のライトが、その闇を撫でるように窓を照らす。

淡い光をどこか幻想的だなんて思いながら、ぼんやりと肩に感じる小さな刺激に心地好さを覚えていた。

ちゅ、ちゅ、とまるで子猫がミルクを飲むみたいに控えめなリップ音が不規則に響く。

「……理一郎。」
「………………。」
「理一郎。」
「……なんだよ。」

私の呼び掛けに面倒そうな返事をする理一郎。
吐息混じりの低い声が項にかかって、まだ覚めない甘い余韻に背筋がほんの少しぞくりと震えた。

「眠らないの…?」
「なんで?」
「だって…………。」
「…嫌なのか?」
「嫌、とかじゃないけど。」
「じゃあ大人しくしてろよ…。」

どうしてそんな言い方しかできないのよ。
そう不満に思っても、言葉にはならない。

私の身体を後ろから抱きしめる理一郎が、何度も、何度も優しすぎるキスを落とすから。
溶けてしまいそうな感触に、私はただうっとりと目を閉じる。

肩に。耳に。項に。首筋に。
数えきれないくらい落とされる口付け。

それは酷く穏やかで柔らかくて。

可愛くない幼馴染みの言葉とは真逆な、心底愛しげな口付け。

「……り、いちろう…。」

背中から伝わる恋人の体温と、羽みたいなキスに段々意識が深いところに潜ってしまいそうで。
ふわふわとした微睡みの中で名前を呼ぶ。

「…おやすみ、撫子。」

優しく囁かれて、また小さなキス。

意識が途切れてしまうその一瞬まで、私は彼の与える小さな感覚を懸命に拾った。


【鷹斗ピロートーク(会話のみ)】

「……ん、…たか、と?」
「あ、ごめん…。起こしちゃった?」
「あ…私、また………。」
「ふふ、撫子は、した後すぐに寝ちゃうね。」
「…っ、だって鷹斗がいつまでも離してくれないから…!」
「ええ?俺のせい?」
「……自覚が無いあたり流石よね。」
「俺がギリギリまで離せないのは撫子のせいなんだけど、それ自覚無いでしょ?」
「どういう意味よ…。」
「……知りたい?」
「え…?っん、あ……!」
「……は。…その目とか、息づかいとか、無自覚に俺を誘ってるって知ってた?」
「誘っ……や、たか…!あっ!も、う無理…っ!」
「ダメだよ、もう遅い。……ねぇ、愛してるよ。撫子………。」




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