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2011,12,25妄想【酔っぱらった円】


(円、随分遅いわね……。)

ちらりと時計を見て、小さく溜め息を吐く。
円が隣の地区へ情報交換の会議に出掛けてから、もう丸半日経っていた。

円のことだし、比較的安全な地区だからきっと何も無いだろうとは思っても、やっぱり心配で落ち着かない。

ちょっとその辺まで見に行ってみようかしら、そんな事を考えた時、ガチャ、と音を立ててドアが開いた。
隙間から覗いた白いモフモフに、ほっと胸を撫で下ろす。

「円!良かった、お帰りなさい!」

思わず駆け寄ると、パタン、と何故か閉まったドア。

(え…?)

意味が分からず呆然とドアを見つめていれば、再び今度はゆっくりと開いた。

「ま、円?どうかしたの?」
「どうもしません、寒いんでお茶入れてもらえますか?」

少しだけ開いたドアの隙間から言う彼に、頭の中にクエスチョンマークがいくつも浮かぶ。

「え、ええ…。」

あからさまに様子がおかしいとは思いつつ、とりあえず言われた通りにお茶を淹れる為にキッチンへと向かった。

背中越しにドアの閉まる音が聞こえて、ようやく円が部屋に入ってきたようだ。

(何なのかしら…。)

横目で円の様子を窺うが、彼は至極普通にテーブルへとつく。
若干の違和感を覚えながら、私はお湯を沸かし始めた。

途中背中に何だか熱い視線を感じる気がして振り向くと、さ、と顔を反らされる。
そんなことを何度か繰り返す。

(本当に何なの??)


暫くしてお茶を入れた私がテーブルに向かうと、それを見た彼はおもむろに立ち上がって壁際へとまるで逃げるように離れる。
流石に不審過ぎる円の行動に、我慢できず口を開いた。

「ちょっと一体どうしたの??何だかおかしいわよ、円。」

そう言いながら一歩円に近付く。

「傍に来ないでください。」

表情を変えずに言い放つ円にむっとする。
ますます意味が分からない。

「だからどうしてなのか理由を聞いてるのよ!」
「どうだっていいでしょ、あなたは大人しくそこでお茶でも飲んでてください。ぼくのことは放っておいて構いません。」
「はぁ???」

もう何が何だか分からない。
キッ、と円を睨み付けて、ふと気付く。
表情こそ変わらないが、細く開いた彼の瞳がどこか赤く熱っぽかった。

「円!?熱があるの??」

だからこんなに様子がおかしいのか、と得心がいった。
しかし円は首を横に振る。

「熱なんかありません、…ひっく。」
「…………。」

(ひっく?)

思わず彼を凝視する。

「……ねぇ、まさか酔っ払ってるの?」
「そうなんでしょうね、自分でも酔っている自覚があります。とりあえずさっきからあなたのことが可愛く見えて仕方ないんで近寄らないでください、襲ってしまいますので。」
「え、ええっ??」

淡々と告げられた言葉は、よく考えなくても凄い内容で。
体中の体温が一気に上がった。

可愛く見えて仕方がないなんて、普段の円なら絶対に言わないだろう台詞。
本当に酔っているのだと知る。

「と、とにかくお水を飲んだ方がいいわ!」

急いでコップに水を汲んで円に駆け寄る。
はい、と差し出した腕を掴まれて、アルミのコップが派手な音を立てて床へ落ちた。

「きゃっ…、ちょっと円!?」
「…近寄らないでくださいって言いましたよね?」

はっ、とした時にはもう遅い。
円の唇が私のそれに触れて、熱すぎる舌がぬるりと口内へ侵入する。
いつもの余裕ある動きとは違う、どこか乱暴に感じる程のその舌。
ぞくりと全身が粟立った。

「…ン、ふっ……んんっ!」
「ん、はぁ……ん…。」

息継ぎさえできない嵐みたいなキスに頭が痺れて。

「っ、はぁ…、ぼくは忠告しましたからね。聞かなかったあなたが悪いんです。」
「ふあっ……あっ、……っ。」

フワリと香るアルコールと、耳元に落とされる甘く掠れた声。
もう抗うことなんて出来なかった。



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