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2011,12,24妄想【酔っぱらった寅】


「トラ?入るわよ?」

廊下から声をかければ襖の向こうから、おお、とどこか間延びした返事が聞こえてきた。
そぉっと襖を開けると、鼻についたアルコールの香り。
部屋の中では数人の有心会メンバーが集まって宴会をしていた。

「お嬢、入れよ。」

その中心にいたトラが、手招きをして私を呼ぶ。

「楓に呼ばれたんだけど、何なのトラ?」
「コイツらがたまにはお前と飲みたいって言うからよ。」

腕を引いて自分の傍へ私を座らせるトラ。
胡座をかく彼の前に引き寄せられて、そのあまりの密着度に、かぁ、と体温が上がった。

「ちょっ、トラ!近いっ!!」
「いいからここにいろ…。」

低い声でそう言われて、トラが私の項に鼻先を埋めて匂いを嗅ぐ気配にますます上がる体温。
ふと周りを見ると、皆がニヤニヤした目で私達を見ていた。

「トラ、トラっ!皆が見てるわよ??」
「んー。…見せときゃいー。」
「トラ、あなたね……。」

言いかけて、背中に感じる温度の高さに気付いた。

「…酔ってるわね?」
「酔ってねぇ。」
「もう…、明日は早くから調査に行くんでしょ?そろそろ御開きにしたら?」
「ったくうるせーな…、いいからこっち向け。」
「え、……んっ!」

頭を抱え込まれて、突然塞がれた唇。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
ひゅー、と囃し立てる声にやっと我に返る。

「んん、…と、ら!ん、ふっ…!」

熱すぎる舌が私の言葉を遮って、暴れようにも彼の腕と膝にガッチリと抑えられて敵わない。
ぬるり、と上顎を舐められた時、思わず鼻に抜けた声を上げてしまった。

途端にしんと静まり返った部屋の中。

ゆっくりトラの唇が離れたけれど、私は恥ずかし過ぎて顔を上げることが出来ない。

「……お前ら出てけ。」

抑揚の無い声が響いて、皆が早急に部屋を出ていったのが分かった。

暫くトラの胸に顔を埋めたままでいたが、何も言わない彼の様子が気になって恐る恐る見上げる。

「ト、ラ………?」

そこには、どこか拗ねた子供みたいな表情で私を見つめるトラがいた。
怒っているのではと思っていた分、唇を尖らすその顔に胸が甘い音を立てる。

「……あいつらにあんな声聞かすんじゃねーよ。」

むっ、としたままそんな風に言うトラ。

(か、可愛いっ…!)

「ト、トラが悪いんでしょ?人前であんなキスするから……。」
「お前は俺のもんだって、アイツらに見せときたかったんだよ。…悪かったな。」

怖いくらいに素直なトラが、愛しくて堪らない。
本当はもっと文句を言いたい所だけれど、仕方ないから許してあげようかな、なんて考えた時。
どん、と後ろから押されて前へと倒れ込んだ。

「きゃっ!ちょ、何するの、よ……。」

勢いよく後ろを振り返れば、覆い被さるようにすぐ近くにあった互い違いの瞳。
その瞳は妖しい色を放っていて、サァ、と血の気が引いていく。

「人前であんな声出さねーように練習しねぇとな…。」
「っ、…あ!」

さっきまでの可愛いトラはどこへ行ってしまったのか。
私の身体に目が回るような快感を植え付けていくトラ。

お酒って本当に怖い。
そう思った所で、もう遅かった。


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