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2011,12,23妄想【円撫+央で温泉(?)】


バケツをひっくり返したみたいな大雨に見舞われたのは、円と央の三人で少し離れた山の近く、その荒廃した土地を散策していた時だった。

「もうっ、何なのこの雨!?」
「世界が壊れてから天気も不安定でしたからね。でも久々ですよ、こんなに雨が降るのも。」
「うわぁ、皆びしょ濡れになっちゃったねぇ…。とりあえずここで雨宿りして様子見ようか。」

植物の育たない山の中で、やっと見つけた小さな洞窟。
三人で雨宿りをするには頼りない広さでも、外にいるよりはまだましだった。

「それにしても、見事に濡れたわね…。」

肌に張り付いて重さを主張する服。
円のトレードマークである白いファー
の上着に至っては見る影も無い程だ。

今は暦の上では夏の終わりな筈だけれど、この世界ではいつも気温は平均的に15℃前後しかない。
どんどん体温が奪われていくのが分かった。

「撫子さん、大丈夫ですか?」

円が心配気に私を伺う。

「流石に、寒いわね…。」
「服を脱いでお互いの体温で暖め合いたいところなんですが、央にあなたの裸を晒すわけにはいきませんからね。」
「な、何を言ってるのよ!?」
「ええ?僕も混ぜてよ、僕だって寒いんだから。」
「央も悪のりしないで!」

そんないつも通りの言葉の応酬をしつつも、体はどんどん冷えていって。
カチカチと歯が鳴り始めてしまう。

「…困りましたね。これでは凍えてしまいます。」
「ねぇ、ここへ来る途中温泉があったよね??雨も大分小降りになったしとりあえずそこで温まるのはどう?」

央の言葉に、そういえば、と思い出す。
確かに、来る途中で見かけた小さな池のような水溜まりからは白い湯気が立っていた。

(でもあそこ、三人で入れる程広かったかしら?)

回りから隠れるような場所でもなかったし、と色々な考えが頭を廻ったが、今はそんなこと言っている余裕もなかった。


数分後、震える体に鞭を打って辿り着いた白いもやのかかる場所。
そこには確かに温かなお湯が田湯たう池のようなものがある。
しかし、温泉と呼ぶには少々狭すぎるかもしれない。

「雨も止んだし、服がある程度乾くまでの間皆で入っていよう。」

当然のようにそう言った央が上着を脱ぎ始めて、私は思わず勢いよく目を反らす。

「央あなたね。」
「あーはいはい、二人の云いたいことは分かるけど、今はそれどころじゃないでしょ?」
「それは、……そうかもしれないけど…。」
「僕は向こう向いてるから、二人も早くはおいでよね。ここ温泉の地熱で岩が温かいから、広げて置いておけば服もすぐ乾くよ。」
「「……………。」」

なんて頼もしい。
呆気にとられながらも感心してしまった。

「はぁ。ま、確かに選択の余地は無いですよね。仕方ありません、さ、脱いでください。」
「え、きゃ!ちょ、自分でできるわよ!」

私の服のボタンを外そうとした円の手を焦って止めて、その手の冷たさに驚く。
突然の状況についていけなくても、もう体は冷えきって限界なことは確かだった。


ぱしゃ、とお湯が音を立てる度に体が強張る。
温めの温泉の中、私達の体は少しでも動いたら触れてしまうほどの近さだった。

(は、恥ずかしすぎる…。)

不意に円と手が触れて、びくっと震えた肩が央の肩に当たる。
素肌の触れ合う感触に、体温が一気に上がった。

「ご、ごめんなさい!」
「いえいえ。」

至極何でも無いことのように答える央に安堵すると、隣にいる円の纏う空気が変わった。

「撫子さん、もっとこっちに来てください。」

ぐっ、と腰を引き寄せられて、円の膝の間に閉じ込められるように抱き締められる。

「あっ、やだ、円!」
「痛っ、ちょ、暴れないでよ狭いんだから。」
「ほら央もそう言ってるでしょ、大人しくしてくださいよ。」
「円が離してくれれば暴れないわよ!」
「駄目です。あなたが央に触れるなんてあり得ないんで。」
「…仲が良くて何よりですねー。」
「央も面倒がらないで!」

バシャバシャと跳ねるお湯。
どこにいたって騒がしい私達。

満足そうに私を後ろから抱き締める円の体が温かいから、まぁあいか、なんて頬を緩ませる私は本当にどうしようもない。

心地好い温もりに、ただ身を任せた。




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