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2011,12,6〜8妄想【円とお風呂】注:大人向け


「......何ですかこれ。」
「え?」

私の部屋で円と過ごす休日。
私はレポートを書いて、彼はデザイン画を描いて、それぞれ別のことをしている。
お互い忙しいからなかなかデートらしいデートはできないけれど、こうして二人で過ごす時間は好きだった。

ちょっと休憩、と私の本を読もうと本棚を見ていた円が、すっと目の前に出した写真。
それを見てぎょっとした。

少し古ぼけた写真に写っていたのは、幼い頃の理一郎と私。
二人一緒にお風呂に入っているという、微笑ましくて恐ろしい写真だった。

「こ、これ、どこから出てきたの!?」
「この本に挟まってました。随分慌ててますね、どうかしました?」

(どうかしました、って......。)

絶対に嫌味を言われると思っていたので拍子抜けしてしまう。

あなた全然変わってないですね、と憎たらしい言葉をさらりと吐いただけで、再び作業を始めた円。
何だか腑に落ちない部分はあったものの、穏便に済んで良かったと胸を撫で下ろした。


レポートも一段落して、外で夕食にしようと彼が車を出してくれる。
運転する時の円は普段かけない眼鏡をかけていて、いつも少しだけドキドキしてしまう。

「えっと、どこで食べるの?」

緊張を誤魔化すように声をかけると、前を向いたままの円がちらりと私を見てふわりと微笑んだ。

「ぼくの家で食べませんか?簡単なもので良ければ作りますよ。パスタとかどうです?」
「円が作ってくれるの??」
「ええ。あなた明日休みでしょう?家のほうがゆっくりできますし、嫌ですか?」
「嫌だなんて、...嬉しいわ。」

ちょっと恥ずかしくて小さな声になってしまったけれど、円は優しく笑ってくれる。
いつにない彼の優しさに、胸が温かくなった。

「茸があったと思うので、和風パスタでいいいですか?」
「ええ、美味しそうだわ。」
「デザートは苺のババロアを作りますね。」
「本当に?すごく楽しみ!」
「お風呂は桃の入浴剤でいいですよね。」
「ええ、いいわね。......っえ!?」

思わず普通に答えてしまってから、驚いて円を見る。
そこにはいつも通り、意地の悪い笑顔を浮かべた彼がいて。
さー、っと血の気が引く音がした。

「あの、今お風呂って言った...?」
「言いましたよ。一緒に入ってくださいね。」
「ちょ、何でよ!嫌よ!」
「今了承したじゃないですか。」
「それは...だって、つい...、とにかくっ!一緒にお風呂になんか入らないわ!」
「りったんさんとは入れてぼくとは入れないって言うんですか?」

そんなお酒を勧める酔っぱらいのようなことを言われても。

「は、入らないからね!」
「大丈夫ですよ、ちゃんとしますから。」
「何を??」

熱い顔を両手で押さえて抗議する私を他所に、飄々とした態度でハンドルを切る円。

彼の家に着くまであと数分。
いくら嫌だと言ってもきっと無駄だということを、私は薄々分かっていた。


目の前に置かれた苺のババロア。

プルプルしたピンク色の生地に赤い果肉が混ざりあって、彩りで乗せられたミントが鮮やかに透明なデザートカップを飾っていた。

「食べないんですか?」
「................。」

食べたいに決まっている。
甘酸っぱい香りに頬の内側がきゅっと痛みを訴えているくらい、食べたいに決まっている。

「...これ、食べたらお風呂に入りましょうとか言うんでしょう?」
「食べなくたって言いますよ。」

しれっとした顔でそう言って、ババロアをパクリと口に運ぶ円。
本当に何を言っても無駄なのね、と重い溜め息が零れた。


シャワーを浴びて、少しピンクがかった乳白色のお湯に浸かる。
甘い香りのそのお湯は思ったよりずっと透明度が低くて、ほっと胸を撫で下ろした。

「撫子さん、もう入ってもいいですか?」
「で、電気消してよ!?」
「はいはい。」

ふ、とバスルームの明かりが落ちて、ドアの向こうに服を脱ぐ彼のシルエットが映る

緊張で高鳴る鼓動を抑えながら、円が浴槽に入ってくるまでひたすら壁を見つめていた。


「そんな端っこにいないでもっとこっちに来たらどうです?」
「いや、あの、大丈夫です...。」

思わず敬語で返す私に対し円が小さく笑った気配がして、横目でじろりと睨み付ける。
濡れた髪を無造作に後ろへと流している彼の姿に、ドクンとひとつ心臓が跳ねた。
はっきり言ってくやしいくらいに格好いい。

水面から出た私の肩に、冷えますよ、と手ですくったお湯をかけてくれる円。

「あ、りがとう...。」
「どういたしまして。」

始めは緊張で固まっていた私も、彼の優しい声や仕草に少しずつ力が抜けていった。

「円、いつもこんな可愛らしい入浴剤使ってるの?」
「そんなわけないでしょ、貰い物ですよ。ぼくがこんなピンクのお湯に一人で浸かってるとか気持ち悪いじゃないですか。」
「ふふ、気持ち悪くはないわよ?可愛いわ。」

そんなとりとめのない会話をして、時折円の指が私の頬や首筋をそっと撫でる。
とても癪だけれど、二人で一緒に入るお風呂は予想外に甘くて楽しかった。
裸の付き合いとは良く言ったもので、お互い何だか優しくなれる気がするのだ。

「......もう少しそっちにいってもいい?」

柄にもなく甘えてみたくなってそう問えば、一瞬驚いた顔をした円。
でもすぐに柔らかく目を細めて、私の体を背中から抱き寄せるようにしてくれた。

ちょっとのぼせているのかもしれない。
私の腕をなぞる指も、項や肩に落とされる口付けも、全てが心地好くてうっとりしてしまう。

もっと近付きたくて、後ろを振り向くようにして小さく彼の名を呼ぶ。
そっと重なる唇の熱さに、もう全てを円に委ねてしまいたくなった。

「ん.........まど、か...。」
「......ん。」

頭の奥がジンと痺れて、もう堪らなくて自ら舌を差し出す。
私の腕を掴む彼の指に力が籠った。

「...は、ぁ...。撫子さん、あまり煽られると困るんですが......。」

ほんの少し眉尻を下げて言う姿が愛しくて、またその唇に触れたくなる。

「円............。」
「......せっかく我慢してたっていうのに、あなたのせいで台無しです...。」

ぽつりと呟いた円が、次の瞬間深く私の唇を割った。

少し乱暴なくらいに求められて、身体中を余すところ無く這う指先。
バスタブに座らされて、与えられる甘美な刺激に溺れそうになって。
このまま深くまで落ちてしまいたいと思ってもそれは許して貰えなくて、また新たな刺激を与えられてしまう。

「あっ、あっ、...まどか、っ、ま、どか...。」
「っ、はぁ.........はっ......。」

いつになく余裕がなさそうな彼が、私を容赦無く追い詰める。

段々と薄れていく視界の端に映る薄桃色のお湯。
むせかえるような甘い香り。
それらが酷く扇情的に感じられた。




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