焦がれて触れて
キスをしても、キスをしても、まだ足りなくて。
確かに唇は合わさっているのに、もっと深くまでと求めてしまう。
息継ぐ間すら与えてあげられなくて、苦しそうに吐き出されるマイの吐息さえ全部飲み込んでしまいたかった。
「怖い?怖かったら言って?」
「…だ、いじょぶです……。」
涙目の君を気遣う素振りを見せるけれど、例え怖いと言われたってもう止めてあげることはできないと分かっていた。
だって、触れてしまったから。
ずっと触れることを我慢していた君の肌は、何かもう苦しいくらいに気持ちいい。
柔らかくて、いい匂いがして、こんなにも僕を誘っている。
どうして今まで隣で寝ているだけなんてことができたんだろう。
自分で自分を褒めてあげたい。
でも君から言ってくれなきゃ意味なかったんだ。
君に欲しいって思ってもらいたかったんだ。
「ねぇ、もう一回言って?」
「え…?」
「僕と寝たいって。」
「―――っ!?」
既に赤かった顔をより赤く染めたマイ。
意地悪な要求だったかな、とは思うけど。でも言ってほしい。
何度だって確かめたい。
君が僕を求めてくれたんだって、実感させてほしい。
けれど君は黙り込んでしまったから、僕は苦笑して体温の高い頬に口付ける。
「ごめん、嘘だよ、そんな顔しないで。」
「………一緒に寝たいです。」
「………っ…………。」
さっきのたどたどしさは無い。
凛と言い放った君。
いつだって君は君の精一杯で僕を満たしてくれる。
普段ちょっと鈍いくらいなのに、時々見せるこんなところに僕は射抜かれてしまったんだろう。
僕を好きだと言う君の中に僕を混ぜて。
一緒に溶けてしまうまで愛させて。
今までのぶん全部、時間はたくさんあるから。
ゆっくり伝えていくから。
尽きることは無いけれど、君への愛。
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