円短編改造計画 | ナノ


帰り道の車の中。

スタンプカードと景品のぬいぐるみを大事に抱えて、助手席で眠る彼女。

渋滞で車が止まる度に飽きもせずその寝顔を眺めてしまう自分に、我ながら溺れているなと呆れたりして。
それでもそれが酷く心地良く感じるから始末に負えない。

人混みに揉まれた疲労感と、歩き回った足が痛い。
やっぱりあんな所でデートなんて柄じゃないとは思うものの、撫子さんに振り回されるのはどうしたって悪い気分はしないのだ。

すうすうと寝息を立てる彼女の頬を撫でて、髪の毛に口付を落として。
少し緩んだ頬を指先でなぞって、柔らかに伏せられた瞼に唇を寄せて。

彼女を照らす淡く光る赤。

渋滞のテールランプが、こんなにも綺麗に見える、秋の夜。





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