time goes by
またこの季節か。そう思う。
秋晴れの空へ手を広げた枝につく葉は、赤や黄色に変わって何処か賑やかな表情を見せる。
それが賑やかだと感じるのは街に流れる音楽のせいもあるのかもしれない。
異国の祭りに便乗するのはどこの店も一緒で、色ばかりがやたら鮮やかなカボチャと、お化けを形取る飾りやお菓子が目に飛び込んでくる商店街。
もう何度目の10月31日だろうか。
あれから。
乾いた風が落ち葉を舞い上げて足に絡み付けば、カサカサとした感触が伝わってくる。
涼やかと言うには冷たくなりすぎた風、咥えた千本がひやりとした温度を唇に落とす。
目を閉じた途端鮮明に思い出される映像は、燻るような茶色と焦げた匂い。
身体の一番中心が鈍い痛みで疼くことで実感する。
俺はまだ今年も生きていて、
そして今も、俺の時間は止まったままなのだということを。
抜けるような秋の青空は今年もまた俺の上にあった。
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