カカシ先生長編改造計画 | ナノ

後悔と自覚


今週に入って3回目の暗部任務だった。
ひとつひとつの任務自体はそこまで過酷なものでは無いが、それでも続けば疲労が溜まる。
上忍師になったというのに、暗部の任務が圧倒的に多いことに溜め息が零れてしまう。
それというのも最近里近辺を中心にあちこちで物騒な事件が多発している為だ。

どうやら里内に内通者がいるらしく、任務内容が里外に漏れ多数の死者が出ているようだった。
狙われるのは基本忍だが、それに巻き込まれてかなりの数の一般人も死んでいる。
死体に残された様々な痕跡から風の国に関係していることは間違いない。わざわざ手がかりを残していくあたり捕まらない自信があるのか、または俺達の目を欺く為の罠なのか。

実際その内通者が忍かどうか、また目的さえ分からないという状況の上風の国とは同盟を結んでいる為、下手に動くこともできないでいる。だからこそこうしてとっくに引退した俺を使ってまで、暗部のみで隠密に内通者の捜索にあたっているのだ。
でき得る限りの手は尽くしている。が、未だ足取りは全く掴めず五代目もかなり焦っているようだった。

(それにしても静かだな……)

少しずつ紅葉を始めた木々が鬱蒼と茂る森の中。
できるだけ大きな、できるだけ目立たない木の上に身を潜めてからもう3時間は経過していた。しかし一向に敵が姿を見せる気配は無い。

里の北外れに潜んでいるらしい盗賊を見つけ次第、賊の頭以外を一掃すること。そして頭を尋問部に引き渡すこと。それが今回自分に与えられた暗部としての任務だった。
こんな闇雲なやり方は効率的では無いが、国も里も早急の解決を求めているので仕方ないだろう。
今夜は最近この地帯に十名程度の山賊が出没するという情報を元にやってきたが。

(今回は空振りみたいだねぇ、どーも)

帰りますかね、と軽く息を吐く。
ふと自分が任務に出る時に見せた不安げな雅美ちゃんの表情が頭を過った。
彼女はまた俺の部屋で眠っているのだろうか。ベッドの傍らで、その体を小さく丸めて。


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