カカシ先生長編改造計画 | ナノ

木の葉での生活


「カカシさーん、朝ですよー。」

カカシさんの部屋の前、ドアからヒョイっと顔を出して声をかけると、
ベッドの上でモソモソと動く大きな物体から眠そうな返事が返ってくる。

「んー…、雅美ちゃん、起こして…?」

布団の隙間からぬっと差し出された手を見て、カッと頬が熱くなった。

「な、何言ってるんですか!早く起きてください!
 お味噌汁冷めちゃいますよ?」
「じゃあ食べさせて?」
「もー!知らないですからね!」
「ハハハ、怒らないでヨ。ごめーんネ、すぐ行きます。」

カカシさんはいつもこんな調子で私をからかう。
口では怒ったような素振りを見せながら、実はそんなに嫌だと思っていないことは彼に内緒だ。
キッチンへ戻りながら、少しだけ緩んだ頬を抑える。
毎朝飽きもせずに繰り返されるお決まりのやりとりは、慣れない土地での不安を和らげてくれていた。

私が木の葉の里へ来て、今日で二週間が経った。

始めの一週間はずっとこの部屋でカカシさんと過ごしていた。
時々は買い物をしに外にも出たけれど、
落ち着くまではなるべく自宅にいるようにと綱手様に言われていたから。
それでも不思議と退屈だと感じることはなかった。

彼がこの世界のことをぽつりと話せば、私も元の世界のことをぽつり話す。
一日中読書をしていたり、一緒に料理をしたり。
私が忍者について知りたいとねだれば、忍具や巻物を使って丁寧に説明してくれたり。

彼はあまり自分の事を多く語らないが、その代わり仲間や教え子の話をたくさん聞かせてくれる。
時に呆れたように、時に酷く嬉しそうに話すその姿からカカシさんの人柄が窺えた。

自分の置かれた状況は変わっていないし、帰る方法もまだ分かっていない。
帰りたいとはもちろん思うが、始めの頃の急くような気持ちではなくなっていた。

カカシさんと過ごす毎日は純粋に楽しかった。

10日を過ぎた頃からカカシさんは私の護衛と並行して他の任務にも就くようになっていた。
流石に彼のような優秀な忍を、いつまでも里内に置いておくわけにはいかないのだろう。
しかし綱手の計らいにより、カカシさんが一日以上かかる長期任務に就かされることはなかった。

二人で過ごす穏やかな日々。
たったの二週間。けれど私とカカシさんが打ち解けるには十分な時間だった。

カカシさんのおかげで私は少しずつ自分の状況を受け入れることができて、
今ではこの世界で生きていく決心すら固めつつある。
自分でも驚く程の心境の変化だった。


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