カカシ先生長編改造計画 | ナノ


「この左目は、オビトの形見なんだ。自分は死んでいくけど、この眼で俺と一緒に未来を見てやるって……だから、俺は――…」

死んではいけない。
オビトの意思を受け継いで、木の葉の未来を見据えていかなければならないから。
それが俺なんかの命を救ってくれたオビトへの、せめてもの罪滅ぼしで。

そう告げようとして、ふと違和感を覚える。
確かにそう思っていた。
今は亡き親友の最後の願いと共に生きていくことが、自分の使命であると。

チクリと疼いた左目に手を添えて、後ろを振り返る。
朝の陽を浴びて輝く透明な瞳が、真っ直ぐに俺を見つめていた。

罪滅ぼし、なんて。
本当にあいつはそんなことを望んでいたのだろうか。

オビトが死んで、ミナト先生もリンもあの戦争で死んでいった。
結局何も守ることなんてできなかった俺は、今までただ里の未来を思って生きてきた。
残された者として、望み半ばで世を去った同胞の為に……

(あぁ、オビト……俺は本当に大馬鹿だな)

お前はそんなことを望んで、俺に全てを託し死んでいった訳じゃない。
誰よりも仲間の大切さや繋がりを大事にしていたお前が、俺にそんなことを望んでいた訳がないんだ。
無くすことに怯えるあまり、きっと大事なことが見えなくなっていた。

オビト。
お前が俺に託したのは、大切なものを守る力だったんだよな。

「……やっぱ、雅美ちゃんはすごいな」

俺の言葉を黙って聞いていた彼女は、その無垢な瞳を瞬かせる。
にっこりと笑顔を向けてから、俺は再び親友の名に視線を戻した。

【守るべき者】じゃない。
【守りたい者】ができたのだと。

刻まれた名前のその奥で、そいつは太陽みたいに笑っていた。



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