カカシ先生長編改造計画 | ナノ


ガタンッという大きな物音に、浅い眠りから目を覚ました。
音は玄関から聞こえてきたようで、カカシさんが任務から帰ってきたのだと分かる。
ちらりと時計を確認すれば深夜2時を回っていた。

(どうしよう……)

起きていくには少し遅い時間だろうかと一瞬躊躇したけれど、やはり【お帰りなさい】が言いたくて急いで玄関へと向かった。
戦地に身を置く彼にしてあげられることなんて何も無くても、せめて帰る場所くらいいつでも穏やかな場所にしてあげたい。
自己満足だと思うけれど、私にできることなんてたったそれだけのことだったから。

廊下へのドアを開けると、壁に寄りかかり俯いているカカシさんの姿があった。
彼の名を呼ぼうとして、薄い闇の中で目に入ってきた異様な光景にひゅっと喉の奥で息が止まる。
向けようとした笑顔は凍り、駆け寄るはずだった足が竦んだ。

一瞬私の目がおかしいのかと目を疑う程の色。
目の前に広がっていたのは、カカシさん全てを覆うような赤。
ドクン、ドクンと心臓が早鐘を打つ。

彼は全身血と泥に塗れ、廊下中に血特有の鉄のような匂いが立ち込めていた。


玄関に佇んだまま動こうとしないカカシさん。【お帰りなさい】の一言がどうしても出てこない。
充満する異臭に吐き気を覚えたが、ポタポタと彼の左肩から落ちる血の滴に気づき我に返る。
どう考えても返り血では無いその血液の量に焦り、思わず近寄って手を伸ばしかけた時だった。

「――触るなっ!!」

暗闇を裂くような響いた、カカシさんの低い怒声。
まるでビリッと電気が走ったような感覚に、私は体を震わせて伸ばしかけた手を止めた。

今のは、本当にカカシさんから発せられた声なのだろうか。
思考も行動も、何もかもが停止してしまう程の全てを拒絶する威圧的な声。

じわりと首筋に滲む汗。速まる脈。
私は動くこともできず、声も出せず、赤に染まったカカシさんを見つめることしかできないでいた。


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