カカシ先生長編改造計画 | ナノ


就寝前のひと時。
静かな部屋の中で聞こえるのはコポコポとお茶の入る音と、本のページをめくる音だけ。

愛読書をソファーで読むカカシにさんに、よく飽きないなぁと心で苦笑しながらお茶の入ったカップをローテーブルに置いた。

「はい、どうぞ。」
「ああ、ありが………。」

私にお礼を言いかけたカカシさんが、ふと言葉を切る。
どうしたのかと口を開こうとした時、不意にコツコツと何かを叩く様な小さな音が部屋に響いた。

聞き慣れない音を追って目を向ければ窓枠に小さな鳥が留まっていて。
チラリと眼線だけ動かして鳥の姿を捕らえたカカシさんが、はぁーっと溜息をついた。

「…どうかしましたか?」
「んー、五代目からの呼び出し。」

この時間にカカシさんが呼び出されるなんて、今まで経験が無い。
恐らく急を要する任務だということが分かった。

飲もうとしていたお茶を置いて自分の寝室へと向かった彼の後姿。
私に何ができるわけでも無いのに、胸がざわついて落ち着かない。

座ることもできずに、まだ窓枠に留まっている小鳥とカカシさんの寝室を交互に見ていると、忍服に着替えた彼が口布を上げながら出てきた。

「雅美ちゃん、時間がないからざっと説明するよ。よく聞いて。」
「は、はい!」

カカシさんの真面目な口調に驚き、ぴっと背筋を伸ばして向き合う。

「これから俺は任務に向かうけど、恐らくすぐには帰ってこれないと思う。
俺がいない間、暗部の者が君の護衛にあたることになる。
そいつは普段姿を見せないけど、必ず近くで守ってくれてるから安心して。」

(暗部………。)

聞き覚えのある単語に記憶を辿る。

暗部。
暗殺戦術特殊部隊という正式名称の火影直轄で任務を受け持つ精鋭隊。
確か昔カカシさんも暗部に所属していたのだと話を聞いた。

【暗殺】というあまりに身近で無い言葉に、ぞくりと背筋が冷える。

「それから、俺との連絡役としてパックンを置いていくからね。」
「ぱっくん?」

聞き返した私にカカシさんは目だけで笑って、右手の親指をかりっと歯で噛み切った。
指を伝った鮮血に驚く暇も無く、彼は目にも止まらぬ早業で印を結ぶ。

「口寄せの術!」

フローリングの床に手の平を当てた途端筆文字が地を這い、煙が上がる。
瞬きも忘れてその様子を見ていると、煙の中に小さな影が現れた。



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